植物学に触れると必ずどこかで一度は見るであろう虫媒花と報酬の話。
植物はミツバチ等の昆虫を花の模様や香りで引き付け、花にある蜜を吸わせる際に体に花粉を付着させ、他の花へと花粉を運んでもらう。
ミツバチの飛距離はどれ程?で触れたが、体重が90mgのミツバチは40mgの蜜を体内に入れることが出来る。
ここで相当極端な例えを挙げて考えてみる。
例えば、一つの花が一日に合成する花蜜の量が40mgだとすると、ミツバチは一つの花の蜜を吸って満足して巣に帰ってしまう。
花の方の立場で考えたら花蜜と花粉の取られ損となってしまう。
一つの花が一日に合成する花蜜の量が2mgだったとすると、単純計算でミツバチは20個の花を巡って巣に変える。
一つ目の花から見ると、ミツバチによって19個の花に花粉を運んでもらった事になる。
蜜の量を減らせば減らす程、ミツバチが巡る花の数が増えるので、蜜の量を減らせば糖の合成量を抑えることが出来るようになるわけで、植物にとって特な話となる。
ここで例えば、別の種の花が一日に合成する花蜜の量が3mgであったとすると、ミツバチはそちらの花に向かう事になるので、花蜜の合成量を減らした植物は見向きもされなくなって花粉を運ばれることがなくなる。
植物が昆虫に与える報酬(花蜜)のさじ加減には壮大な進化の歴史が詰まっていると言える。
これを踏まえた上で、
丸善出版株式会社 Jurgen Tautz著 ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解くに記載されていた内容を紹介する。
冒頭の写真はバラ科のサクラの花である。
この花はバラ科のリンゴの花である。
ここで上の本から興味深い内容を紹介する。
1輪のサクラの花は一日に30mg以上の花蜜を作る。一方、リンゴでは一個の花で一日に2mgの蜜を作る。
この話は単位に注意で、サクラは一度にたくさんの花を咲かせるけれども、リンゴは各々の花でタイムラグがある。
サクラとリンゴの開花は少しズレるので比較出来るわけではない。
参考にした本の内容は異なるけれども、もしサクラとリンゴが同じ時期に開花するとして、ミツバチはどちらの花を選ぶのだろうと想像してみると、その想像からハチミツの質の向上に繋がるヒントが得られるかもしれない。