最近、再び蛇紋岩の話題が挙がる。


PC103292

(玄武洞ミュージアムで撮影)

蛇紋岩で出来た山が近くにある田んぼ


蛇紋岩があるところといえば超苦鉄質岩に区分され、読んで字のごとく苦土(マグネシウム)と鉄を多く含んでいる。

蛇紋岩地植物群

葉緑素の合成で苦土と同じぐらい大事なものは?


苦土と鉄を多く含んでいるということは、栽培で大事な要素をふんだんに含んでいるのでとても良いじゃないか!

ということになるけれども、土壌の専門家は蛇紋岩の地質を良くは思わないらしい。

その理由として

・pHが高くなりすぎる

・ニッケル(Ni)を多く含む

の二点があるらしい。


pHが高いのはないかと厄介だ。

pHが高いことによって植物が土壌からカリや微量要素が吸収しにくくなるからだ。

超苦鉄質の大江山の麓の土壌


もっと厄介なのは、ニッケルを多く含むことだ。

ニッケルは植物にとって必要な要素だけれども、必要量が少なく、過剰症が出やすい要素でもある。


i-w_series

星屑から生まれた世界 - 株式会社 化学同人 38ページより引用

I-W系列と各微量要素


I-W系列を見ても、亜鉛よりも結合力が高いのに細胞内に亜鉛よりも多いとなると、あとちょっとのニッケルでとても悪いことが起こるだろうと安易に想像出来る。

何はともあれ、ニッケルの働きを見ない限りなんとも言えないので、体内でニッケルがどのように使用されているか?調べる。




ニッケルはウレアーゼという金属酵素の材料で、ウレアーゼというのはウレアこと尿素を分解する酵素になる。

尿素は硫安の様な速さで効くか?


植物はウレアーゼによって尿素を分解する。

ウレアーゼの働きが弱る(ニッケル欠乏)とおそらくタンパクからの代謝だろう。

葉に尿素が溜まってネクロシスを起こす。

※ネクロシスを簡単にいうと枯れること


過剰症はニッケルの結合力の高さから、これ以上の説明は要らないだろう。

亜鉛を含む農薬の作用をI-W系列から考えてみる




話は戻って

・pHが高くなりすぎる

・ニッケル(Ni)を多く含む


これら二点だけれども、畑作での栽培であれば欠点かもしれないけれども、稲作であったらどうなのだろう?

更に言うと、蛇紋岩を含む山の麓の畑であればどうなのだろう?


専門家は職業柄局所的な判断になりがちなので、もっと俯瞰してみたらどのように解釈することになるのだろう?