超苦鉄質の大江山の麓の土壌の続き。
かんらん岩や蛇紋岩の地域のことをもっとよく知れないか?と今まで読んでいた本を思い返していたところ、株式会社誠文堂新光社 / 年代で見る 日本の地質と地形の36ページに記載されている岩手県の早池峰山のページで、蛇紋岩で形成された山にしか生えない植物があるという内容が記載されていた。
後にこの植生のことを蛇紋岩地植物群と呼ばれていることを知るんだけど、蛇紋岩の風化によって形成された土壌というのは独特の特徴を持つことで蛇紋岩地にしか生息することができない植物が誕生したとか。
蛇紋岩についてもう一度詳しく見てみると、かんらん岩という鉄とマグネシウムを含んだケイ酸塩鉱物が、水の作用によって蛇紋岩へと変成する。
ブルーバックスの3つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたちという本の42ページにかんらん石から蛇紋岩が生成される反応が記載されていたので引用すると、
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6[(Mg1.5Fe0.5)SiO4] + 7H2O → 3[Mg3SiO5(OH)4] + Fe3O4 + H2
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※左からかんらん石、水、蛇紋岩、磁鉄鉱、水素
かんらん石は大気中では不安定なため、地表に現れたかんらん石では上記の反応は頻繁に起こる。
かんらん石が水の作用によって蛇紋岩と磁鉄鉱と水素が発生する。
ここで発生する水素が生物誕生に大きな役割を果たしたと考えられているらしいが、今はその話には触れないことにする。
かんらん石はマグネシウムと鉄を含んでいたけれども、水の作用によってマグネシウムを多く含んだものと磁鉄鉱に分かれる。
磁鉄鉱は形成の際に磁気を帯びるので、蛇紋岩でできた山は全体が磁性を帯びている。
この蛇紋岩地植物群の地域の特徴は、植物に必要な窒素、リン酸、カリが少なく、マグネシウムと鉄が多い。
更に前回の話からpHが高いこともわかっている。
蛇紋岩の量にも依るけど、蛇紋岩の化学組成を眺めると粘土ではないため、腐植の蓄積もおそらく少ないだろうと予想できる。
蛇紋岩の地域では水田ならば様々な恩恵を受けられるかもしれないけれど、畑作だと頭を使って様々な対策をしなければ秀品率は上がらないだろうなと。
いずれ大江山に登れるようになったら、独特の植生というものを拝みに行ってみたい。
追記
蛇紋岩の地域では、一般的な植物はマグネシウム過多、カリウム欠乏により吸水障害を引き起こす
2021年3月24日追記1
蛇紋岩の主の鉱物の蛇紋石は1:1型粘土鉱物として扱われている。
2021年3月24日追記2
蛇紋岩の地質由来の土壌ではpHが高くなるため、土壌中の鉄が溶脱しにくく鉄欠乏になりやすい