前回の酸素供給剤と水溶性カルシウム剤の混用はダメなのか?の記事で、硫酸石灰と過酸化水素の組み合わせで起こりうる反応を見た。
某SNSで見かけた質問の続きで硫酸石灰と酸素供給剤の混用が心配であれば、塩化石灰との組み合わせはどうか?というものがあったので、今回は塩化石灰について見ていく。
塩化石灰というのは、化学式がCaCl2で表される塩酸との塩(えん)で、塩酸が強酸であるので非常に溶けやすく、道路の凍結防止剤等でも活用されている。
塩化石灰を溶かした後の話に移り、塩素イオンを塩酸と捉えて話を進める。
塩酸(HCl)と過酸化水素(H2O2)を反応させると、
2HCl + H2O2 → 2H2O + Cl2
で塩素ガスが発生する。
塩素ガスは腐食性と強い毒性を示す。
と記載はしたが、前回の硫酸石灰と同様、追肥として使用する際は塩酸の濃度が濃くなることはないし、過酸化水素も上記の説明のように激しく使用するわけではないので、そこまで心配しなくても良いはず。
とは言っても、少しでも被曝量を減らしたいというのが普通に思うことだろう。
そこで水溶性の石灰でお勧めするのが、
蟻酸(ギ酸)という有機酸と結合した石灰塩の肥料がある。
蟻酸と過酸化水素の反応で生成される過蟻酸の説明をWikipediaから抜粋してみると、
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酸化力・殺菌力があるため、医療・食品産業において用いられる。(途中省略)強い酸化力はタンパク質のジスルフィド結合切断に用いられるほか、有機合成においてエポキシ化・ヒドロキシル化などの酸化反応にも用いられる。医療・食品産業においては殺菌力が利用される。ウイルス・細菌胞子・藻類・菌類・マイコバクテリウム属・動物プランクトンなどを含む微生物全般に有効である。分解すると二酸化炭素・酸素・水となり、有害な物質が発生しないため広く用いられる。殺菌速度は過酢酸・過酸化水素などよりも速い。(途中省略)毒性はない。
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と記載されている。
ギ酸石灰は塩化石灰や硫酸石灰程の水に溶けやすさはないが、混用使用の諸々の不安を解消してくれる。
注意
ギ酸自体も毒性はあるので、ギ酸塩の肥料の使用の際は肥料の説明に記載されている用量を守って正しくご使用下さい。
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