先日の京都八幡のとらこ株式会社さんで堆肥の有効活用の話をしましたの際にこれからの栽培には酸素供給剤が重要な要素になるだろうという話題になった。
今まで投稿して記事を改めてみると、酸素供給剤は酸素の放出以外にも価値があるように思えてきて、今一度酸素供給剤についてまとめてみることにする。
酸素供給剤というのはその名の通り、酸素が発生する肥料のことを指す。
酸素供給剤は過酸化石灰(CaO2)というもので水に触れると下記の反応になる。
CaO2 + 2H2O → Ca(OH)2 + H2O2
※Ca(OH)2は水酸化カルシウム(消石灰)、H2O2は過酸化水素
過酸化水素は消毒液として利用されていて、カタラーゼという酵素を持っている生物であれば、
2H2O2 → O2 + 2H2O
のように酸素と水を放出する。
面白い反応として、過酸化水素は活性酸素の一種として扱われ、カタラーゼを持たない生物(特にグラム陰性細菌等)は過酸化水素に触れると、酸化作用によって殺菌される。
更には活性酸素とキレートされた鉄が合わさると強力な活性酸素になり殺菌作用が増強される。
この反応をフェントン反応と呼ぶが、実はこの過酸化水素やフェントン反応は意外な生物が自身の増殖の為に利用している。
その生物というのが、
キノコで、難分解性有機物であるリグニンを変性させる為に過酸化水素を利用する。
酸素供給剤を試した方からの記事で元肥に酸素供給剤を入れた方がネギの成長が速かったという報告があったことを紹介した。
ネギは酸素を多く欲する作物ではあるが、改めて考えてみると、元肥には酸素供給剤の他に廃菌床やバークといった植物性の有機物と粘土鉱物を入れている。
廃菌床やバークは向上で熟成させているものであっても、当たり前の話で完全に腐植化したものではない。
土と混ぜた後にキノコやコウジカビ等の糸状菌が腐植化を行う必要があり、その時に過酸化水素を活用するはず。
となると、ネギが好調であったのは根の周りの酸素量だけではなく、土を形成する糸状菌が活発になったことも大きな要因の一つではないか?
と考えられる。
もしかしたらだけれども、
酸素供給剤こそが、土壌中の有用微生物にとっての餌と捉えるべきものなのかもしれない。
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