主に高級飲食店に出荷している方たちから
食味の向上の為に施肥の主として有機質肥料の魚粉肥料(フィッシュミール)を活用している。
という話題が頻繁に挙がる。
この後に続く話題としては、魚粉肥料は年々入手が難しくなっていて、
菜種油粕肥料でどこまで代替出来るのか?
意見を求められるのだが、返答に悩む。
なぜなら、これらの肥料が作物の食味にどのように関与しているのか?が想像つかないからだ。
おそらく、魚粉はダシとして利用されるので、旨味のアミノ酸を豊富に含んでいて、それが作物に良い影響を与えているのだろう。
一方、油粕はタネからの採油後の残りなので、粉砕した種皮が主なので、魚粉と比較したら旨味のアミノ酸は少ないはず。
トマト等の食味が重要な果菜で、土壌の水分を切って、土壌のECを高めて水ストレスを与えて食味を向上するという技術がある。
トマトの木は果実に移行させる水の量を減らすことで、トマトの果実成分の濃度を高めることが目的らしい。
水ストレスを与えた時に細胞で増加する要素といえば、葉の浸透圧を高める為に苦味のアミノ酸であるプロリンを蓄積する。
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プロリンは苦味を呈するアミノ酸となっているが、糖原性(脱アミノ化※で糖になる)である。
※脱アミノ化は-NH2が外れること
水を切る栽培方法の欠点は収量が激減してしまうということで、とにかく質重視のトマトを収穫したいという時に水を切る栽培を行う。
質を重視しつつ、量も確保できる栽培を行う猛者がいるもので、その方たちが採用している方法というのが、土壌の水は切らずに、
極限まで低分子化したアミノ酸肥料を葉面散布という手法で適宜株に追肥している。
他にも微量要素系の肥料も活用しているが、アミノ酸肥料の方に重きを置いている。
やはり食味の向上にはアミノ酸が重要らしい。
アミノ酸の葉面散布を行うと顕著に見られる現象として、虫に因る食害と病気の発生率が軽減するというものがある。
これは葉菜で目立って見られる。
植物の防御や免疫の観点でアミノ酸というものが重要なのだから、上記の結果になるのは安易に予想できる。
食害が少なくなれば、植物体内での不快な味の合成する機会が減る。
アミノ酸を豊富に含む肥料によって、何らかの味覚が良好な成分が増え、不快な味覚は増えにくい。
これがアミノ酸肥料による食味の向上なのだろう。
出来れば味覚が良好な成分が何なのか?は知りたいところだけれども、今は触れないでおく。
余談だけれども、光合成能力の向上に関与するグルタチオンや、生理活動で発生する活性酸素の除去に関与するポリフェノールもアミノ酸を元に合成される。
「美味しい野菜 = 食べると健康になる」は今のところ判断が難しい。
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