ある用語についてなんとなく現象を捉えていたとしても、ある一つの説明が追加されることで見えるものが変わってくるもの。
緑肥の活用として注目しているMATE輸送体というものがあり、ソルゴーのアルミニウム耐性でMATE輸送体について触れた。
※写真はソルガム(ソルゴー:モロコシ)ではなく、トウモロコシかもしれない
強力な結合力を持ち、植物の根に毒性のあるアルミニウムを、根から分泌したクエン酸によりキレートさせて無毒化させる作用で、劣化した土壌を栽培しやすくする可能性として捉えている。
このMATE輸送体に関して、
羊土社から出版されている基礎から学ぶ植物代謝生化学に下記のように記載されていた。
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植物はもともと鉄のローディング※を行うクエン酸輸送性MATE輸送体を有しており、進化の過程でそのMATE輸送体をアルミニウムの無毒化に転用したことがゲノム解析から推測されている
※ローディング:積み込み、輸送のこと。道管内に物質を輸送することを道管へのローディングという。
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※羊土社 基礎から学ぶ植物代謝生化学 245ページより引用
土壌のアルミニウムの無毒化と鉄の吸収が同じ機能であること。
以前、アルミニウム耐性のあるスギナが繁茂している土壌で、スギナよりもイネ科のマルチムギが優勢になったという内容を記載したことがある。
この時、マルチムギの根からアルミニウムを無毒化できる物質が分泌されているのだろうと記載したが、今回の話と合わせることで体内に鉄を溜め込んでいることも考えられる。
個人的に鉄を吸収するのは大変なイメージがある。
土壌中に鉄は多いが、鉱物として存在していて、それを溶解して使用するとなるとなかなか骨が折れる行為であるはず。
緑肥が土壌から鉄を吸収して葉に溜め込んでおいて、その葉を鋤き込んだとしても鉄鉱のような形状に戻ることはなく、おそらく有機物にキレートされた錯体や何らかの塩として存在しているはず。
今回のMATE輸送体の一件から、緑肥というものは微量要素の金属の吸収の効率の改善を行っているのではないか?ということがふと頭に浮かんだ。
今回の話が正しければ、緑肥のタネをまくまえにするべき重要なことが見えてくる。
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