ミカンの栽培を止めた途端、上の写真の草がたくさん生えてきたらしい。
この植物をマルバツユクサだと仮定して、なぜこの植物が突然生えてきたのか?を探っていきたい。
はじめにマルバツユクサについて調べてみた時に、マルバツユクサの種子サイズと出芽時期・遮光が生育と種子生産に及ぼす影響 - 雑草研究 Vol. 51(3)139~145(2006)という論文を見つけた。
植物の生育に関する論文であれば、大概はじめににテーマとなる植物のことが詳しく記載されているものなので該当する個所を抜粋してみると、
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本種は,地上部において総苞を形成し,その中に1~ 3個の花を着け,受精して種子を生産するが,一方では土壌中に地下走出枝を発生・伸長させ,それに総苞を形成して閉鎖花を着け,自花受精して種子を生産する,2種結実性を有している 。地上部の開放花と地下部の閉鎖花は,いずれも受精後に発達して果実(さく果)となるが,それらは前後2心皮となって中央で裂け(胞背裂開さく果),前方心皮内には2~ 4粒の種子を生産する。一方,後方心皮は閉じたままであり,その中に前方心皮で生産された種子よりも大型の種子 1粒を生産する。これらのことから,マルバツユクサは1植物体に4つのタイプの種子を生産することになる。
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※上記で紹介した論文の139ページより抜粋
まずは用語の整理をしておこう。
走出枝はシロクローバやイチゴで見られるランナーのこと。
閉鎖花というのは蕾は出来たのは良いが開花しない花でマルバツユクサは花を咲かせずに花弁の内側で(自家)受粉で花としての役割を完結してしまうらしい。
地上、地下に関わらず、各々の果実内では大小二種類のタネを付け、地上と地下を合わせて4種類のタネを付けると記載されている。
地下のタネ付近はこの文章だけではわかりにくいだろうから、イメージできるように除草剤のバスタのマルバツユクサの特集のPDFへのリンクを掲載しておく。
特集 マルバツユクサ バスタ液剤 バイエルクロップサイエンス株式会社
地上、地下のタネのことをもう少しイメージしてみると、地上で形成されたタネはそのまま落ち、地下で形成されたタネは地中10cm当たりのところに位置することになる。
マルバツユクサのタネの寿命は比較的長い(20年ぐらい経過しても発芽するという報告がある)らしい。
ミカンの畑は緩やかな傾斜であった。
今回のマルバツユクサは栽培終了後に雨ざらしになった土地において、土地の傾斜に従って土が軽く移動し、地中に埋まっていたタネが発芽条件を満たし一斉に発芽したということになるだろうか?
マルバツユクサは栽培中に生えてくることはなかった。
ミカンの栽培は20年よりも短い。
となると、ミカンの栽培を始める前にここで生育していた草のタネが、栽培を止めた土地で条件を満たし発芽したという流れが見事にマッチする。
ミカン栽培中、ミカンの根元にいたタネたちが、発芽出来る機会を待ち続けたのかと想像出来る。
栽培終了時に除塩をするためにいるかのようだ!
今回の話が正しければの話だけどね。