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イネから発見されたイソプレノイドのモミラクトン


前回の記事でイネの根からモミラクトンという物質が分泌されていて、モミラクトンには抗菌性やアレロパシー活性があると記載した。

抗菌性というのはいもち病への耐性あたりで、モミラクトンの分泌を促進できるような資材があれば、栽培はもっと楽になるのではないか?


というわけでモミラクトンについて更に調べてみると、加藤 尚 イネの根からのアレロパシー物質モミラクトンの分泌 根の研究(Root Research)25 (1):5-13 (2016)というミニレビューに辿り着いた。


要約すると、モミラクトンBにはアレロパシー活性があって、


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acworksさんによる写真ACからの写真


上の写真には写っていないが、イヌビエ等の競合が周辺にいると分泌量が増える。


他に、


momirakuton

※図:イネの根からのアレロパシー物質モミラクトンの分泌 根の研究(Root Research)25 (1):5-13 (2016)9ページより引用


ジャスモン酸、エリシター、紫外線、重金属や栄養欠乏によっておモミラクトンの分泌量が増加するらしい。

紫外線以降は栽培中はよろしく要素なのでこの場では触れないでおいて、ジャスモン酸というのは、植物の環境に対する防御に関するもので、

ジャスモン酸とサリチル酸


エリシターとは生体防御反応を誘導する物質の総称で、ミニレビュー中ではカンタリジンという物質がエリシターとして触れられていた。

エリシター - Wikipedia

カンタリジン - Wikipedia


今回の内容はすぐに役立つものではないけれども、いずれきっと役に立つ日がくるだろう。


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