レガシーPの利用を考えるの記事で、土壌に過剰に蓄積してしまうリン酸の中で、植物にとって最も利用が難しいAl型リン酸について見ていくことにした。
前回の文末で低リン酸耐性作物のラッカセイに触れたが、一旦置いといて、難溶性のAl型リン酸が自然に可溶化するのか?について見ていくことにする。
安定したAl型リン酸ことリン酸アルミニウムであって、強酸に触れ続ければ可溶化するらしく、天然に存在するものであれば、
NEUROtiker - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
シュウ酸と、
Bryan Derksen - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
ギ酸が頭に浮かぶ。
根酸としてシュウ酸の方がよく見かけそうなので、シュウ酸アンモニウムで検索をしてみたら、内容の詳細は残念ながら見れないけれども、シュウ酸アルミニウムの抗菌作用を利用したマツタケの生長戦略 - 第127回日本森林学会大会にアカマツとマツタケの菌根からシュウ酸を分泌して、不溶性リン酸アルミニウムから可溶性リン酸を得ると記載されていた。
根から根酸としてシュウ酸を分泌する植物がいれば、土壌中のAl型リン酸を可溶化できる事はわかった。
これらの内容から
ラッカセイの根からシュウ酸が大量に分泌されているということで、低リン酸耐性作物として振る舞うという認識で良いか?
ラッカセイの根から大量のシュウ酸が分泌されていることが正しいとして、次に疑問になるのが、シュウ酸によって溶解したリン酸とアルミニウムがあって、アルミニウムがラッカセイの根に何らかの障害を与えるのでは?ということだろうか。
これに対して、作物はなぜ有機物・難溶解性成分を吸収できるのか 根の作用と腐植蓄積の仕組み - 農文協の87ページに興味深い内容が記載されていた。
接触溶解反応説と呼ばれる考え方(証明されたかは不明)になるが、根の表面にアルミニウムイオンや鉄イオンがキレート結合できるような部位(孔)があり、難溶性のリン酸を吸収した後に孔とアルミニウムイオンがキレート化し、その箇所を剥離して新たな孔を形成するというものだ。
文章だけだと何を言っているのか?わかりにくいと思うので、興味があれば植物の力を活かした適正な施肥|深掘!土づくり考|土づくりのススメ|営農PLUS|農業|ヤンマーの固定されたリン酸の活用の説明を読むと良いでしょう。
剥離したアルミニウムと結合した表皮細胞は、土壌の有機物の蓄積モデルそのものなので、土の物理性が良い方向に向かう。
今回の話題に関して、他にも興味深い話題があるが、それは次の機会にする。
-続く-