ラッカセイはAl型リン酸を利用できるか?の記事で、低リン酸耐性作物であるラッカセイが、安定したAl型リン酸を利用できることを記載した。
この内容では他にも興味深いことがあるので、今回の記事で紹介する。
作物はなぜ有機物・難溶解性成分を吸収できるのか 根の作用と腐植蓄積の仕組み - 農文協の83ページに、ラッカセイのリン酸アルミニウムの溶解のグラフが記載されている。
グラフを掲載するのは面倒なので、文字のみで要約すると、ラッカセイのリン酸アルミニウムの溶解は土壌のpHが 4 の時に多く、pHが 5 で急激に低下して、pHが 5 以上ではさほど変わらずになっている。
一般的な栽培ではpHが 4 の時は活性アルミナの障害が発生するが、前回触れた接触溶解反応説が正しければ、ラッカセイは活性アルミナによる障害は発生しない。
であれば、ラッカセイの栽培では炭酸塩肥料による土壌の化学性の改善は不要となる。
たくさんの畑の土壌分析の結果を見る機会があるのだけれども、大半の畑で石灰過剰の傾向がある。
石灰にも色々あるけれども、pHが変動しないので、炭酸石灰が多い可能性は十分にあり得る。
上記のような条件でリン酸を改善したいと輪作でラッカセイを定植したら、リン酸値は改善されるのだろうか?
土壌のリン酸値を改善したい場合は、まずは石灰値の改善から意識する必要がありそうだ。
上の土壌分析のグラフの場合、リン酸値も高い為、作物や微生物が比較的利用しやすいCa型リン酸も多いわけで、病気も多発する可能性も高い。
土壌分析でリン酸の数値が高い結果が返ってきたら次作は気を引き締めた方が良い