こめ油に含まれるもう一つの抗酸化作用を持つ物質までの記事で、米ぬかに含まれるトコトリエノールとフェルラ酸を見てきた。
フェルラ酸の方で気になる事があるのだけれども、米ぬかの成分の方を優先して話を進める。
米ぬかで気になる成分として、
User:Edgar181 - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
γ-オリザノールがある。
※上の化学組成はオリザノールA
オリザノールAをよく見ると、左がフェルラ酸で右がステロール(ステロイド骨格を持つ化合物)になっている。
オリザノールはイネが高温ストレスを受けた時に玄米に蓄積する化合物であるらしく、イネのストレス応答に関与している可能性のあるものだ。
水稲登熟期の高温ストレスにより玄米において蓄積が増加するフェノール性化合物 | 農研機構
オリザノールのことを詳しく調べてみると、医薬品として用いられているそうで、炎症に関与する物質の抑制や脂肪の蓄積に関与する物質(アディポネクチン)に影響を与える。
※潮秀樹等 米抽出物γ-オリザノールおよびGABAの新たな生理作用 - 美味技術研究会誌No.12:21-25,2008
オリザノールからもわかる通り、
Calvero - Selfmade with ChemDraw., パブリック・ドメイン, リンクによる
米ぬかで重要な位置付けの物質としてフェノール性化合物のフェルラ酸があり、この化合物の合成が不調であれば稲作全体が不調になる可能性がある。
左側にある六角形(ベンゼン環)の合成周りを改めて見てみたら、興味深い知見を発掘できるかもしれないな。