ヤマタノオロチ退治と赤い川までの記事で島根の各地域の位置関係がほんの少しだけれども見えてくるようになった。
前回の記事ではヤマタノオロチの伝説がある斐伊川は、上流から流れてくる鉄により赤い川となり、それが伝説の由来となった可能性が高いと記載した。
この斐伊川の上流には、
※上の写真は他地域の田になる
西の仁多米、東の魚沼と言われる程、高品質な米が栽培されている仁多米の田がある。
仁多米の栽培条件から他地域での稲作のヒントになることが得られるかもしれないので、地図を眺めながら見ていくことにする。
はじめにWikipediaに記載されている内容を抜粋してみる。
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山陰地方の日本海側気候で、標高300~500mの棚田は日本の棚田百選(大原新田)にも選ばれ稲の登熟期には日較差が大きいため米の澱粉蓄積量も大きく、蛋白質が増えないという高品質・良食味の生産条件が整っている。夏期の日較差は、魚沼地域より1℃大きく、病害虫の発生が少ないという好条件にも恵まれている。米は田植えから収穫までに、1反当り150tの水を必要とするが、水源として雪解けの花崗岩からミネラル分豊富な岩清水が豊富に湧き出ている。
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※解説には最後に島根牛の牛糞による土作りの記載が合ったけれども、おそらくそれは米の高品質には関わっていないだろうから省略する。
キーワードとして、雪解けの花崗岩からのミネラルと記載されているが、粘性の高い岩石からのミネラルに期待できるのだろうか?という疑問があるので、地図を俯瞰してみることにする。
仁多町(現在は奥出雲町)の地質・土質を知る上で知見が得やすい特徴的な場所を探すと、
鬼の舌振(おにのしたふるい)がある。
この場所を構成する主要な岩石に粗粒黒雲母花崗岩があり、日本有数の磁鉄鉱を含み且つ風化しやすいという特徴があり、下流の赤い川化に大きな影響を与えているそうだ。
※島根半島・宍道湖中海ジオパーク公式ガイドブック | 島根半島・宍道湖中海ジオパーク Shimane Peninsula and Shinjiko Nakaumi Estuary Geopark 71ページより
仁多米の品質には黒雲母と黒雲母が大きな影響を与えていると当たりを付けてみる。
黒雲母は組成式がK(Mg,Fe)3AlSi3O10(OH,F)2で記載されるアルミニウムを含む鉱物で、風化しやすく二次鉱物はおそらくバーミキュライトになる。
黒雲母から溶脱したミネラルは栽培に良い影響を与える事はよく見聞きする。
そういえば、
今まで見てきた中で最高の品質を誇る小滝米も用水路の水が赤かったな。
水の赤さは酸化鉄によるものなので、米の品質の向上には酸化鉄とその周辺のミネラルが重要なのだろうな。
追記
奥出雲町 - 20万分の1日本シームレス地質図で地質を確認してみると、ほとんどが花崗岩だったが、中心当たりに粘性の低い深成岩の斑糲岩(はんれいがん)があった。
斑糲岩が風化したものが周辺の土質に影響を与えているのであれば、黒雲母由来以外のミネラルも期待出来ることになる。
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