松江の玉造温泉と勾玉までの記事で日本の神話の出雲を見ている。
出雲を地質的に見ると、
神話に登場する三種の神器を造るための材料はすべて手に入ることがわかった。
この話をもう少し深堀してみることにする。
出雲の神話で有名なものとして、
スサノオノミコトのヤマタノオロチ退治がある。
イザナキの鼻から生まれたスサノオは出雲にある斐伊川(ひいがわ:古事記では肥河と記載しているらしい)に降り立ち、ヤマタノオロチを十拳剣で切り刻み退治する。
このとき、ヤマタノオロチから大量の血が斐伊川に流れ込み真っ赤に染まった。
更に尾を切ると剣の刃が欠け、尾の中から大刀が出てきた。
この大刀が後の三種の神器の天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を指す。
斐伊川がヤマタノオロチの血によって赤く染まった事に対して地図でスッと頭に入る 古事記と日本書紀 - MAPPLE SHOPに興味深い内容が記載されていたので紹介する。
斐伊川は複数の支流が合流して複雑な形をした川で氾濫しやすい。
もう一つは上流から大量の砂鉄が流れこみ赤く濁る。
この二つの条件で古代の人々にとって斐伊川が異形に見えたのだろう。
赤い川というのは、
赤い川と鉄細菌の記事で見た酸化鉄に拠るものであるらしい。
大量の砂鉄が流れ込むというのは、上流で鉄の採掘をしていた可能性が高く、稲作文化における鉄器の製造が行われていた可能性がある。
※島根県古代文化センター 編 解説 出雲国風土記 196ページ コラム13より
※ ただ、ヤマタノオロチ退治の時期と上記の本のコラムでは時代が異なっているので明確ではない。
今までの話で出雲には稲作を行うための良質な肥料の緑泥石、祭器と鉄器の材料があることがわかった。
古代史における出雲は効率的な稲作を行う上で優位な土地だったのだろうな。