海水由来の塩化カリの記事で塩化カリについて触れた。

塩化カリ(KCl)はすぐにカリ肥料でありながら、ガスが発生しにくく障害発生が起こりにくいという言われている。


ただ、塩化カリを水に溶かした時に分離する塩素イオンの影響は常に意識しておいた方が良いのは間違いないので、今回はそのことに触れていく。




前回の記事で塩化カリについて注意しておくべき点として、

・ECの値が上がりやすい

・塩素イオンは電気陰性度が高い

・副産物としてマグネシウム等が含まれているかもしれない

があった。


このうち、障害が想像しにくいのが二番目の電気陰性度だろう。

最初に電気陰性度について整理しておく。




電気陰性度の定義をWikipediaから引用してみると、

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電気陰性度は、原子が電子を引き寄せる強さの相対的な尺度であり、ギリシャ文字のχで表される

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電気陰性度 - Wikipedia

となっている。


原子が電子を引き寄せる力と言われても、所見であれば想像が難しい。

一旦すべての用語を置いといて、塩素イオンがあるとどうなるのか?のイメージを持ち出してみると、


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※図:腐食の基礎 - ものづくり基礎講座(第56回技術セミナー)『金属の魅力をみなおそう 第三弾 観察・分析編 第五回』 東北大学金属材料研究所 正橋直哉 31ページより引用


塩素イオンによる孔食(金属腐食の一種)がある。

所謂、金属が部分的に穴が開く現象だ。

孔食 - Wikipedia


ある金属に対して、塩素イオンがきっかけとなり、金属間にあった糊付けのような役割の電子がなくなり、金属が部分的に脆くなり穴が開く。

上記の内容は酸が金属を溶かすの記事で触れた。


塩化カリを肥料として利用する時は、周辺に何があるかわからない複雑な環境下での反応なので、塩素イオンがどのような挙動を示すか?は丁寧に考えていく必要があるが、とりあえず、塩素イオンと孔食に関しては頭に入れておいた方が良いのは間違いない。




とりあえず、塩化カリで注意すべきは腐食だということがわかったので、土と腐食についてを検索をしてみたら、農林水産省のサイトで、埋没管の腐食の話題があった。

第2章 腐食の種類とその特徴 - 農林水産省


上記のURL先と少し話題が異なるが、


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土と腐食という用語で、ビニールハウスや支柱の地面に指す鉄管が頭に浮かんだ。

土には電子の動きに大きな影響を与えるポリフェノール等もあるので、塩化カリを意識する必要があるのか?という疑問もあるけれど。

紅葉の落ち葉が土に還る

登成健之介 フェノール及びポリフェノール類の抗酸化能について - 職業能力開発報文誌 VOL. 15 No. 2 (30), 2003


追記

一般土壌に分類される腐植土では土壌による腐食速度は小さく、銅管に与える影響は小さいらしい。

であれば、腐植質肥料でしっかりと土壌改良を行っている場所であれば、塩化カリの影響は考えなくても良いかもしれない。

第2章 腐食の種類とその特徴 - 農林水産省 2-7ページ