ヒトはタウリンを生合成できるのか?までの記事で、(脱線はしたが)魚粉肥料についてを見てきた。
有機態窒素多めでリン酸も多く使い勝手の良い有機質肥料と思いきや、石灰(カルシウム)の量が不明確で地雷も多い有機質肥料であることがわかった。
果菜の施設栽培で食味の向上として魚粉肥料を用いられることが多いが、細心の注意を払って施肥設計を行わないと、何処かで深刻な連作障害に陥ってしまう。
今回は話はちょっと変わって、魚粉肥料を用いて栽培した野菜の味について見ていきたい。
魚粉肥料を使用している方の間で良く言われるのが、(特にトマトで)魚粉肥料を施肥すると魚粉出汁のような味になっていくという話がある。
短絡的な考えだと、魚粉の旨味がそのまま野菜に移ってと思いたくなるが、養分の吸収と収穫部位での養分の蓄積はそう単純な話ではないだろう。
ということで、上記の魚粉出汁のような味になっていくといった話を丁寧に見ていきたい。
先にヒトが感じる旨味について挙げておくと、
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グルタミン酸、
グアニル酸と
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イノシン酸がある。
上記三種の有機酸を三大旨味として扱う。
上記の化学組成を俯瞰すると、グルタミン酸はアミノ酸で、グアニル酸とイノシン酸の右上に五角形と六角形が合わさった構造があり核酸であることがわかる。
わかりやすい作物としてトマトを挙げる。
トマトと旨味で検索をしてみると、トマトのうま味成分グアニル酸が加熱調理で増加 | 農研機構のページでグアニル酸と、高田式久著 トマトのアミノ酸について - 日本家政学会誌 Vol.63 No.11 745 ~ 749(2012)でグルタミン酸を挙げている。
トマトに魚粉肥料を施肥すると、これらの成分が増加するのだろうか?と思いきや、
グアニル酸はキノコに豊富に含まれている旨味成分であると言われている。
魚粉肥料に豊富に含まれていると言われるのはもう一つの核酸系の旨味成分のイノシン酸であったはず。
もし、植物の根が核酸を吸収して、そのまま葉に蓄積するということがあるのなら、トマトにイノシン酸の旨味が追加されて、更に美味しくなったと感じるようになるのだろうか。
三大旨味は旨味の相乗効果があるというし。
他にも考えられる事はあるが、今は触れないでおこう。
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