大豆粕にコリンは含まれているか?までの記事で有機質肥料の大豆粕(脱脂大豆)には発根に良い影響を与えるホスホコリンが豊富に含まれている可能性があるという内容を記載した。


ホスホコリンの化学式を改めて眺めてみると、


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コリンにリン酸が付与されている。

ホスホコリンの化学式を見て、


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もしかしたら、米ぬか嫌気ボカシの製造で、


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Yikrazuul - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる


米ぬかに豊富に含まれている有機態リン酸であるフィチン酸からホスホコリンが合成されているのだろうか?という事が頭に浮かんだ。

別の言い方をすれば、キレート作用が強いフィチン酸が減少して、その分、発根を促すホスホコリンが増加するのか?になるだろうか。

米ぬか土壌還元消毒でどれ程の有機態リン酸が投入されるか?


この疑問を解消するステップとして、米ぬか嫌気ボカシに関与する酵母等にフィチン酸を分解できるフィチン酸の合成能があるか?を知る必要がある。

ホスホコリンはリン脂質を構成する物質なので、酵母が増殖すればホスホコリンは勝手に増えていくので、酵母のホスホコリンの合成能は気にしなくて良いだろう。




アカデミックではないが、アカデミックの内容を参照にしているので、内容は信用できると判断してサワー種製パン(2)~ 発酵とフィチン酸の分解 ~ - おいしいパンの百科事典のリンクを掲載しておく。

様々な試験区の結果が記載されているが、とりあえず小麦粉とドライイーストの内容をピックアップしておくと、ドライイーストで小麦粉を一時間発酵させると、フィチン酸の量が83.6%減していた。

これは予想以上に酵母の活動では予想以上にフィチン酸が利用されている事がわかる。


米ぬか嫌気ボカシでも酵母の働きを利用しているという仮定で話を進めると、ボカシを仕込んで数日中にフィチン酸はほぼなくなり、核酸やホスホコリンに変わっている事になり、栽培にとって非常に有意な状態になっていると言える。


ボカシの話題でタンパク質(N)の肥効の向上がよく挙がるが、もしかしたら核酸やホスホコリンに視点を当てた方がわかりやすいのかもしれない。