秀品率が高い畑の土のリン酸値は低かったまでの記事でリン酸の蓄積を見てきた。
土壌分析では可視化されない有機態リン酸の意識を向ける事ができれば、秀品率は向上するだろうといった内容。
この話を背景にして最近話題に挙がった内容を紹介しておく。
最近注目されているハウス栽培での米ぬか土壌還元消毒という方法だ。
詳しい内容は米ぬかを利用した土壌還元消毒の記事に記載されているが、改めて紹介すると、
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主にハウスで1〜2トン/反の米ぬかを施用し、土壌を潅水して酸素の少ない状態にする。
潅水状態で土と米ぬかを撹拌して静置する。
土を乾かしビニールで覆うことによって酸素が入らない状態にして、20日近く静置する。
土をビニールで覆って酸素が入らない状態にすることで、土壌中の微生物が酸素と米ぬかを消費して、ビニール下で二酸化炭素を充満させ酸欠状態にする。
発酵熱と太陽光によりビニール下の温度が高くなり、太陽光消毒も同時に行う。
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上記の記事でも記載したが、この間に米ぬか由来のエネルギーから生じるフェントン反応の効果も狙っているだろう。
この土壌消毒の方法で土壌中の有機態リン酸が急激に増えるけれども、それは後々の栽培に悪影響を及ぼす事はないの?という話題が頻繁に挙がるようになった。
この話題が挙がった時に未発酵の米ぬかにどれ程の有機態リン酸が含まれているのか?を把握していない事に気が付いた。
というわけで早速検索をしてみたら、HILIC を用いた米糠中のフィチン酸の分析 - TOSHO BIOSCIENCEのページにたどり着き、米ぬかに有機態リン酸ことフィチン酸が85g / kg程含まれているという記載があった。
米ぬか土壌還元消毒では1〜2トン / 反程投入するので、土壌に投入されるフィチン酸の量が85〜170kg / 反と相当の量になってしまうということか。
フィチン酸の構造からおそらくリン安と同じぐらいの肥効があるとすると、一作あたりのトマトのリン酸の施肥量が20〜30kg / 反程であるはずなので、相当のリン酸過剰になってしまうということか。
フィチン酸のキレートが有効である場合は亜鉛等の微量要素の肥効が落ちてしまう為、土壌劣化のハウスでは致命傷になる可能性があるな。