枝の断面が黄色かったの続きの記事で上の写真の木材はウルシなのか?という内容を記載した。
であれば、この木材に触ったら漆かぶれになって痒くなるはずなのに、何故痒くならなかったのか?が気になった。
体質に因るものなのか?
それとも枝(or 幹)を輪切りにした時に何らかの化学反応でうるしかぶれが起こりにくくなったのか?
もしくは根本的にこの木材は漆ではないのか?
最後の要因に触れると話が終わってしまうので、今回の話はウルシだと仮定して話を進める。
漆かぶれの要因となる物質はウルシオールと呼ばれるフェノール化合物であるらしい。
ここで一点気になるのが、
輪島塗等の漆器はウルシから得られる樹液を器に塗ったものであって、ウルシオールを活用した器だと言える。
ただ乾燥させただけであったら、食器洗いの時にウルシオールが溶け出して、漆かぶれになるはずなのに何故かならない。
であれば、漆器に付着したウルシオールは単純な乾燥ではないはずで、ここらへんを調べてみたら、今回の本題の疑問の解消のヒントが見つかるかもしれない。
というわけで早速検索をしてみたところ、宮腰哲雄著 漆と高分子 - 高分子 66巻 8月号 (2007)に記載があった。
ウルシオールはラッカーゼという酵素反応により酸化重合され、より大きなフェノール化合物(ウルシオールが二個以上繋がったもの)ができる。
ラッカーゼはウルシオールを酸化して電子を頂く事で還元され不活性になり、この際にウルシオールは酸化重合する。
還元されたラッカーゼは大気中の酸素によって酸化され活性化を繰り返す。
この反応を繰り返すことにより漆塗膜は硬化していくそうだ。
冒頭の写真の黄色い色素も同様の反応が起こっているのかな?
このラッカーゼだけれども、銅イオンを含む金属酵素であるらしく、ウルシオール中に含まれているそうだ。
奥久慈産ウルシ由来のラッカーゼの構造と機能 - 茨城大学研究・産官学連携機構
ここにも銅酵素のラッカーゼが含まれているのかな?