漆器に触れても何故漆かぶれが起こらない?までの記事でウルシオールというフェノール化合物について触れてきた。
ウルシオールというのは漆器の塗料の原料になるが、漆かぶれの原因にもなる物質である。
次に気になるのが漆かぶれになるので、それも見ておく。
漆かぶれを検索してみると、接触性皮膚炎というアレルギー反応と説明していることが多かった。
アレルギー反応ということで、素人レベルの知識だけれども、ウルシオールが皮膚から浸透して細胞が反応することで生じるはず。
ここでふと頭に浮かんだのが、生物学の実験のDNAの抽出方法がある。
細胞からDNAもしくはRNAを抽出する時の最初の薬剤処理をフェノール・クロロホルム抽出と呼ぶ。
DNAを抽出したいサンプルを低温環境で粉砕した後、フェノールを加えて粉砕した細胞からDNAを分離することができる。
フェノールの構造を確認すると、
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となっている。
改めて、ウルシオールの構造を確認してみると、
Calvero. - Selfmade with ChemDraw., パブリック・ドメイン, リンクによる
※Rの箇所には炭素(CH2)が直鎖状で大量(15個ぐらい)につながっている
※炭素同士の繋がりで一重か二重かで飽和や不飽和の分け方がある
ウルシオールの方が炭素が15個ぐらい余計に付いていて、ベンゼン環の箇所に水酸基(-OH)が2個付いていて、反応性は高くなっている。
フェノールは細胞内に浸透して、細胞膜を破壊する作用を持ち、ウルシオールは効果が弱まった版といったところという認識で良いだろうか?
であれば、皮膚がウルシオールに接触した時は生物学的に見て由々しき事態になるわけで、逆に漆かぶれにならない人の免疫は大丈夫なのか?と心配になってしまう。
ところで細胞はウルシオールの何を認識してアレルギー反応を引き起こすのだろう?
ベンゼン環(六角形の箇所)を認識しているのならば、
Ben Mills - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
ベンゼン環を持つアミノ酸のチロシンにもアレルギー反応を示したりするのかな?