昼間でも暗いと感じる程大きく育つ槻の記事でケヤキについて触れ始めた。
ケヤキについて理解するためのヒントとなるものは何だろう?とケヤキに関する読み物を読んでいたら、チロースという用語を見かけたので、今回はチロースについて触れていきたい。
ちなみにWikipediaでケヤキとチロースに関して触れている箇所をピックアップしておくと、
/*********************************************/
日本の材としては、ジャパニーズ・ウイスキーの樽に使われることで有名なミズナラとともに、導管を塞ぐ「チロース」と呼ばれる物質が発達しており、水を通さない。そのため、材は狂いが少なく湿気に強いのが特徴で、幅広い用途に使われる。
/*********************************************/
古くから日本に自生していて、酒樽に関係している木であるのに、何故日本の神話で神の毛から誕生した木に挙げられていないのだろうか?
これはケヤキを理解していくといずれは明確になっていくのかな?
チロースに関してわかりやすい内容を探していたら、古い内容ではあるがさし穂・移植木の活着と水分生理 - 森林総合研究所九州支所 定期刊行物 九州の森と林業にたどり着いた。
何らかの損傷(人為的なものであれば挿し木等)により根からの吸水と葉からの蒸散のバランスが崩れた時に導管内腔がチロースと呼ばれる風船状のものが蓄積し、水移動の抵抗が上がる(水が移動しにくくなる)そうだ。
これは木にとって不利に見えるが、根の切り口からの乾燥や病原菌の侵入を防ぐといった観点からあながち不利だと言えなくなる。
この内容からケヤキは他の木よりも導管内腔をチロースが蓄積しやすい特徴があるということだろうか?
導管内腔をチロースで埋めるということは、木材としては重硬な木材に属することになり、この点に関して佐道健 木へんを読む - 学芸出版社の本で興味深い内容が記載されていた。
重硬な材に属するケヤキの加工が、工具の関係で困難だったためか、昔は小さい部材は別として、大きい建築用材には使いづらかったのではないか?と記載されていた。
建築資材としては十二世紀の中頃の寺の再建時にケヤキ材が用いられたという記述があるらしく、ケヤキを木材として利用するには鉄器の発達が重要であったと考えることができ、それ故、神話で神の毛から誕生した木に挙げられなかったのだろう。
ケヤキ材は木目が美しく強度も大きく国産の広葉樹の木材としては最優良材であるらしい。
いろんな知見を照らし合わせていくと、最優良材の所以が少しずつ見えていくのが面白い。