土壌の保水性の向上を考える4までの記事で土壌の保水性を高める有機物としてのセルロースを見てきて、セルロースをクエン酸で処理することで、保水性が向上するかもしれないという内容を記載した。
これを踏まえた上で、新たな研究報告について触れたい。
その内容というのが、天然素材のセルロースを凍らせるだけ!強い機能性ゲル材料を新たに開発- 凍結によるセルロースの結晶相転移と簡易なゲル合成法を発見 -|プレスリリース|J-PARC|大強度陽子加速器施設でタイトルに記載されているようにセルロースを凍らせるだけで、構造が変化するというものだった。
実際にはセルロースを凍らすだけではなく、セルロースを低濃度の水酸化ナトリウムを含む条件で凍らせて、クエン酸を加えて、溶かすだけで、高強度の構造を形成するというものだった。
どうやら、高pHの環境下でセルロースを凍らせると、セルロース間の繋がりに変化が生じ、水や物質などを出し入れすることに優れた性質を得たそうだ。
性質の中に保水性の向上の記載はなかったが、クエン酸の反応もあるため、保水性に関しても何らかの影響を与えているはず。
この話題を読んで、頭に浮かんだのが、
霜柱が下から土を持ち上げるの記事の内容で、霜柱が立ってはじめて良い土になるというものだった。
霜柱の冷たさと、周辺の植物の根から分泌された根酸が合わされば、今回紹介した内容に似たような反応が土壌中でも発生するのではないかと。
高pHの条件はないけれども、ヒドロキシ基(-OH)周辺の反応は生じるだろう。
もし、この予想が正しければ、保水性を高める為のすべき事が見えてくる。