昨年、新宿御苑というところで、丁子菊(ちょうしぎく)という菊を見た。
今まで書いてきた菊とは違って、真ん中の部分が目立っている菊だ。
この丁子菊、真ん中の部分をまじまじと見てみると、
雄蕊、雌蕊だと判断しそうなところが、何となく個々が花のような形状に見えてくる。
菊というのは、
一つの花に見えるけれども、これは複数の花の集合で、頭状花序(とうじょうかじょ)という集合花である。
真ん中の筒状になっているものが筒状花と呼び、外側の装飾している花弁っぽいものを舌状花と呼ぶ。
この写真だけ見ると、全然花っぽく見えないけれども、実際、一つ抜いてみると花だなと感じられる形状になっている。
一つずつ抜いてみたものは今は手元にはないので、個々の花の形状はおいおいにして、この視点を得た上で、
肥後菊、
嵯峨菊、
江戸菊を改めて見てみると、これらの花は舌状花の美を求めたけど、丁子菊は筒状花の美を求めた様に見えてくる。
集合花の育種と言うのは、どちらの花に意識を向けるか?によって、こんなにも変わるのだなと古典菊を見る度に思う。