黒糖肥料の記事で話題に挙がった
肥料袋に必ずといって良いほど記載されているN:P:K
これはN(窒素)、P(リン酸)とK(カリ)がどれだけ入っているか?の指標であり、
たとえば、
N:P:K = 5:10:5の肥料があり、
この肥料が100kg内に、
N(窒素)が5kg(5%)、リン酸が10kg(10%)とカリウムが5kg(5%)入っていることになる。
なるほど、
ある作物では、収穫までに窒素が10kg/10a必要だとすると、
この肥料を200kg施肥すれば良いことになる。
当然、窒素だけではダメなので、
リン酸やカリウムの方もしっかりと見て、
いろんな肥料をうまく配合して施肥しなければならない。
ちょっと待ってくれ。
ここで言う窒素ってなんだよ?
窒素は窒素を含む化合物のことで、
タンパク、核酸やヘムも窒素を含むから、当然、窒素に含まれるわけで…
栽培で窒素と言えば、
農協が指導の際に用いる硫安(りゅうあん)が一般的で、
硫安とは硫酸アンモニウムの略で、
化学式は[NH4]2SO4である。
化学式の前の方のアンモニウムイオンに窒素(N)を含んでいるね。
ということで解決するかと思いきや、
ここで先日の黒糖肥料を見てみると、
(ラベル:株式会社農産アグリーンのサイトより引用)
黒糖肥料はN:P:Kが5:0:2になってるけど、
ここでいう窒素(N)は絶対に硫安ではないよな?
どちらというよりもほぼ、
アミノ酸のNだよな?
(アミノ酸のアミノ基の箇所が硫安と共通)
再度、硫安の構造と比べてみると、
By Edgar181 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
簡単なところから比較してみても、
硫安はカルボキシル基を持っていないので、保肥力を高める効果は見込めない。
つまりは、
黒糖肥料のNは作物に吸収されなかったとしても、
他の肥料効果を高めることが期待でき、
硫安のNは作物に吸収されなかったとしても、
他の肥料効果を高めることは期待できない。
となると、
黒糖肥料は作物から多少離れた箇所に施肥してしまっても、
他の効果が十分に見込めるし、
微生物の餌としてPEONの増量が見込める。
土とは死骸の塊である
一方、硫安は作物に吸収されなかったらそれっきりで、
おそらく降水で成分が流れてしまうだろう。
これらを踏まえた上で、
黒糖肥料と硫安の窒素(N)を同じ窒素(N)と解釈しても良いのだろうか?
単刀直入に言ってダメだろ。
おそらくここの解釈から脱却しないと、
土壌診断とかをベースにシステム開発をしても水の泡になってしまう気がする。
補足
他の窒素肥料:尿素 - Wikipedia