前回の食酢の農薬的な利用(アブラムシ等の防除)として利用する際は、
展着剤を一緒に混ぜておかないと、
アブラムシ等が食酢をかわして効果を発揮しない
という話題が挙がった。
展着剤というのは今までの農薬の使用でも何度も話題に挙がった(ブログでは紹介していない)ので、
せっかくの機会なので展着剤に触れてみることにする。
まず、展着剤に触れる前に
植物の基本的な特徴に触れてみると、
植物の葉を横から見て、
葉の表面には水を弾くワックス層がある。
このワックス層をクチクラ層と呼び、種類によってどれ程水を弾くか異なる。
このクチクラ層だけれども、
単純に水を弾くだけでなく、有用な成分を選択的に透過させて体内に取り込んでいる。
上記内容については日本植物生理学会に興味深いトピックがあったので興味があればそちらを読んでみると良いです。
クチクラ層の不思議 | みんなのひろば | 日本植物生理学会
話は戻って、
植物の表面にはワックス層があって、水を弾く性質がある。
農薬等の有効成分に限らず植物が利用できる物質は水に溶けているため、
植物の表面に散布しても期待した通りの効果を発揮しないものが大半で、
これらの有効成分をうまく効かせるために展着剤というものが必要となる。
というわけで、
展着剤の定義をWikipediaから抜粋してみると、
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展着剤とは、農薬や緑化資材を散布する際に散布対象への付着を容易にするため媒介的に用いられる薬剤のこと。農薬の場合、植物や害虫に付着を促すとともに水和剤(水に溶けない農薬を微粒子にしたもの)を水に均一に混じりやすくするために用いられる。
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展着剤は植物表面や害虫に付着という説明の通り、
対象の箇所に定着することを目的として、
展着剤自体は殺虫や殺菌作用はないものが使用される。
ちなみに前回からちらほらと話題に挙がっているアース製薬さんで販売されている
アースガーデン やさお酢 1000ml | 園芸用品 | アース製薬株式会社 製品情報
やさお酢では、
企業秘密ということでここでは詳細は記載しないが、
人体が食べても大丈夫なものを展着剤として利用し、
その展着剤の粘性がアブラムシに付着して食酢の効果を確実なものにする。
物質に効果があっても、その物質自体が対象となる箇所に届かなければ効果はないと同義。
効果があるものをより確実にするために展着剤というものがある。
次回は展着剤のより深いところを見てみることにしよう。
-続く-