紀州蜜柑は何処からやってきた?までの記事で、現在市場に出回っているウンシュウミカンとその親であるキシュウミカンについて見た。
ウンシュウミカンと比較して、キシュウミカンは小ぶりでタネがあり酸味が強いと記載されていた。
他に何処かで見た内容として、ミカンの長い歴史において苦味が減っているという。
苦味が減るという品種改良がどんなものなのか?に興味が湧いたので調べてみることにした。
最初に柑橘における苦味とは何か?だけれども、リモノイドという化合物が苦味を呈するそうだ。
リモノイドにはいくつか種類があって、
Fvasconcellos - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
そのうちのリモニンについて見てみる。
リモニンはミカン科の果実に含まれ、特に種子に高濃度に含まれていることが多いそうだ。
ウンシュウミカンにあって、キシュウミカンに無いものといえば、
※上の写真はキシュウミカンではないが、タネ有りのミカンのイメージとして掲載
タネであるため、種無しのミカンができれば、それだけで苦味成分が減る事に繋がる。
種無しなんてそう簡単にできるのか?と思い浮かべてみると、ウンシュウミカンは三倍体なのか?と思い付く。
実際のところはどうなのか?と検索をしてみると、下記のページを読むと違うらしい。
ウンシュウミカンの全ゲノムを解読 -カンキツ品種改良の効率化に期待-農研機構 国立遺伝学研究所
ウンシュウミカンには高度な雄性不稔性と雌性不稔性を備えているのに加え、他のカンキツ品種と比較しても例外的に高い単為結果性の3つを有しているそうだ。
要約すると、雌しべに花粉が付いても受粉しにくく、受粉しなくても果実の肥大が起こりやすいそうだ。
前者の雄しべに花粉が付いても受粉しない事を不稔性(ふねんせい)と呼び、後者の受粉無しで果実の肥大が起こる事を単為結果と呼ぶ。
他の種無し果実の形成でも言われるように、単為結果にはジベレリンが関与する。
Calvero. - Selfmade with ChemDraw., パブリック・ドメイン, リンクによる
ジベレリンは種子の休眠打破や老化の防止に関与する植物ホルモンで、果実の肥大にも関与する。
ウンシュウミカンは雌しべの形成の時期付近でジベレリンの発現量が増えるように変化したのだろうか?
影響力が大きな植物ホルモンが、雌しべ以外でも発現量が増えていたら、生育に何らかの影響を与えるような気がするが、実際のところはどうなのだろう?