p53遺伝子の記事に引き続き、ウィルス関連の話題。
物事を理解する時には、それを知って意味があるの?と疑問になるような内容でも把握しておくと理解の助けになることが多い。
というわけで、
植物の研究の時に学んだアプローチについて挙げる事にする。
何で唐突にアプローチ?なんて疑問は一旦気にせず話を進める。
ちなみに上の写真は、植物学の話題ではシロイヌナズナという草が頻繁に用いられるが、シロイヌナズナの写真がないため、イメージとして同じ科のタネツケバナの写真を載せておく。
何らかの操作により、機能のわからない遺伝子を見つけたとする。
この遺伝子の働きを調べる時、どのようなアプローチを取るべきか?
ざっと思い浮かぶものを挙げてみると
・遺伝子の配列を調べて、常に知られている遺伝子の中で類似しているものはないか?を調べる
・遺伝子組み換えの手法を用いて、この遺伝子のみ働かない個体をつくり観察してみる
・遺伝子組み換えの手法を用いて、この遺伝子が過剰に働いている個体をつくり観察してみる
あたりだろうか。
一番目の話は塩基配列を読む方法の話題になるので、ここでは触れず、二番目以降の話題に触れてみる。
遺伝子組み換え(形質転換)の方法は過去記事に任せるのでここでは触れない。
フローラルディップ法で用いる形質転換用のベクターはmRNAワクチンの技術の凄さに感動したの記事で話題に挙がった通り、比較的簡単に出来る。
これらの内容を踏まえ、二番目の任意の遺伝子のみ働かない個体をつくりという内容はmRNAワクチンはRNAi治療薬の発展にも貢献するはずの記事で触れた、siRNAの組み込みからRNAiを誘発すれば良い。
3番目の任意の遺伝子が過剰に働いている個体をつくりというのは実際にはどのようにしているのか?というと、任意の遺伝子を正常な個体に組み込んでしまえば、個体内のDNAに任意の個体が多くなった状態になる。
ただし、これはあくまで正常な個体内の遺伝子数 + 1にしかならないわけで、過剰発現とは程遠い。
そこで利用するのが、任意の遺伝子の前に、カリフラワーモザイクウィルス(CaMVと略す)から得られた35Sプロモータという延期配列を付与したものを組み込む。
遺伝子組み換えの際に35Sプロモータ + 任意の遺伝子といった並びにしたものを組み込むと、組み込んだ任意の遺伝子の発現量が増えるという特徴がある。
今回の内容はイラストがなく、文字だらけで意味がわかりにくくなっているが、ヒトがウィルスの恩恵にすがっている内容を挙げておきたかった。
ウィルスの意味論を読み、RNAウィルスから発見された酵素の恩恵を思い出した