前回の記事に引き続き、
農文協の現代農業9月号の廃菌床の特集で紹介していただきました
今回の話も現代農業9月号の原稿を作成した時に知った話。
先に前回の内容を軽く触れておくと、
クレジット:photolibrary
これといった産業がない村において、キノコの栽培を行ったことで外貨を稼げるようになった。
外貨というのは自身の村以外の地域で売れたということで、キノコの栽培は集落の稼ぎ方を変えたそうだ。
これを踏まえた上で今回。
培地でのキノコの栽培において、培地内に菌糸が回りきったら栽培は終了で、上の写真のような廃培地が残る。
この廃培地は日本のほとんどの地域において、再利用の価値がない産業廃棄物として扱われているそうだ。
産業廃棄物ということで、処分は焼却処分をしなければならず、地域によって価格は異なるけれども、1kgあたり20円とか有料で処分しなければならない。
この話は家畜糞の処分の話と同じだ。
キノコの廃培地は白色腐朽菌によってリグニンが分解され、土壌の有機物蓄積モデルの重要な要素であるフェニルプロパノイドに変わっている超重要な資源である。
リグニンを含むフェニルプロパノイドはおがくずになる前の生きていた頃の植物が光合成によって二酸化炭素を固定して形成された資源なわけで、土壌で蓄積しやすい有機物であり、燃やすとせっかく植物が固定した二酸化炭素が放出されると2つの有用な要素を逃すことになり非常に勿体無い。
最近、地方創生という言葉をよく見かけるけれども、キノコ栽培にはそのポテンシャルがあるはずで、キノコ栽培から培地の有効活用までがつながれば、様々な社会問題を解決する足がかりになるのでは?なんて思ったりした。
追記
キノコの栽培は見ての通り、キノコの菌糸が活発な頃に培地を廃棄するため、無処理で堆肥として利用したら、作物と菌との競合が発生して窒素飢餓が発生する。
廃菌床を堆肥化する流れも含める必要がある。
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