グラスエンドファイトとヨトウの記事で、
共立出版 基礎から学べる菌類生態学という本で、
グラスエンドファイトに感染されているホソムギをヨトウの幼虫に餌として与えたところ、
非感染植物を与えた場合に比べて成長が著しく抑制された。
という内容が記載されていたことを紹介した。
この話題を挙げた背景として、
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今年はヨトウの被害がひどかったという方が多かった。
ヨトウというのはヨトウガという鱗翅目の昆虫で、
その中でもヨトウの幼虫による食害がひどい。
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という話題があった。
冒頭の本にはグラスエンドファイトをもっと勉強したい方へで文献の紹介があったので早速購入して読んでみた。
その本が、
東海大学出版部から出版されているグラスエンドファイト その生態と進化というもの。
グラスエンドファイトではわかっていることが少なく、
理解のための研究の試行錯誤が記載されている。
文中でグラスエンドファイトことバッカク菌等に感染されたイネ科植物で合成されるアルカロイドがまとめられた表を見ると、
植食性の脊椎動物(ウマやウシ)に対する毒性のあるものとして、麦角アルカロイドとロトリレム、
植食性の無脊椎動物(昆虫等)に対する毒性の尾あるものとして、ロリンとペラミンがあった。
直近の目標は畑作においてのヨトウ対策なので、
ロリンとペラミンについて見てみると、
ペレニアルライグラスで盛んに研究されていることを知った。
※ロリンは害虫に対して致死性を、ペラミンは食害抑制の効果を持つ
ペレニアルライグラスで緑肥がないか?と検索してみたところ、
なんと!
タキイ種苗からエンドファイト活性のあるペレニアルライグラスのタネが販売されているではないか!
芝・緑化・緑肥 | 品種検索 | ペレニアルライグラス | アフィニティ - タキイ種苗
グラスエンドファイトは種子感染の垂直伝播なので、
エンドファイト感染のタネがなければ調達することが困難だろうなと思っていた。
ただしだけれども、
グラスエンドファイトが宿主のイネ科の草と共生を結んだとしても、
必ずしもそれが互いにメリットがある相利共生であることはなく、
アルカロイドの合成も安定的なものではない。
グラスエンドファイトと共生している植物が生態的に優位にたてるか?といえばそうではなく、
グラスエンドファイトだから良いんだという判断は現時点では禁物だとされている。
あくまで傾向だけれども、
土壌の水分量が少なく窒素分が多い環境で感染株が優位になり、
アルカロイドの合成も見られたので、
アルカロイドの合成は相当の負担があるようだ。
ペレニアルライグラスの利用の前にまだまだ知るべきことがありそうだ。
追記
ライムギでもグラスエンドファイトの話題がある。