水素酸化能を有するイネの内生菌の記事で、イネの内生菌のストレプトマイセス属の細菌からケイ素(シリカ)と錯体を形成していたシデロフォアが発見された研究報告を紹介した。

土壌にいる微生物でシリカと関係がありそうな菌や細菌の報告が他にもありそうなので検索してみたら、

バクテリアにおけるシリコンの役割 - 環境バイオテクノロジー学会誌 Vol. 11, No. 1 · 2, 47–53, 2011

という研究報告に辿り着いた。


水田を含む土壌環境から得られた240株の細菌のうち、24株がケイ素を取り込むもので、すべてがBacillus(バチルス)属であったそうだ。

バチルスといえば、栽培では枯草菌や納豆菌(B. subtilis)で話題に挙がりやすいが、これらの細菌ではケイ素の利用は確認されておらず、食中毒の原因で時々耳にするB.cereusでケイ素の利用が確認された。

バチルス属の細菌がケイ素を利用し、ガラスの殻に包まれる事によって、不利な環境でも生き抜くことができると考えられている。

B.cereusは酸性域は不得意とされるが、ケイ素によって耐酸性の機能を得ているのではないか?

セレウス菌 - Wikipedia




ケイ素を利用するバチルス属の細菌で他に報告のあったものとして、生物兵器として時々耳にするB. anthracisB. thuringiensis等が挙がっていた。

炭疽菌 - Wikipedia


後者の方は農薬のことを調べていたら頻繁に目につくBT剤のバチルス・チューリンゲンシスのこと

BT剤という名の生物農薬


BT剤は人体に影響がないという説明をよく見るけれども、よくよく見るとB. thuringensisも動物に何らかの影響を与えるらしい。

という話は置いといて、


バチルス属でケイ素の利用という文章を読んで頭に浮かんだのが、緑肥について学んでいた時に指針となった本の記事で触れた土壌中に細菌が居る場所で、粘土と土壌有機物が結合しているところに細菌がいるということになっている。



もし、今回触れたバチルス属の細菌が、イネのケイ素の吸収に関与しているのであれば、栽培前の土作りによってケイ素の利用が高まる事になる。

猛暑日が多い中で中干しの意義を再検討する


話は変わって、クボタのサイトで姿を見せず田んぼを守る謎の「バチルス・チューリンギエンシス菌」 | 田んぼの生き物 | クボタのたんぼ [学んで楽しい!たんぼの総合情報サイト]という読み物があった。

B. thuringensis単体が何をしているか?には触れていないけれども、水田の地温の上昇や害虫駆除の話題に触れていた。


ケイ素や細菌の好む環境の理解が進めば、年々猛暑がきつくなってくると予想される中でも、イネの秀品率を落とさない為の技術が見えてくるかもしれない。


追記

今回紹介したケイ素を利用するバチルス属はケイ素を吸収する際にミネラル分(Mn、Zn、CaやFe)がなければ吸収されないそうだ。

水田や畑では亜鉛が慢性的に欠乏しているので、ケイ素の利用の前に亜鉛から意識する必要があるのは変わらない。

光合成の質を高める為に川からの恩恵を活用したい