肥料の製造元と面識がないので、肥料名は控えるが、ケイ酸肥料で有名なものにケイ酸苦土というものがある。
保証成分は苦土が25%近くと多量に含んでいる。
ケイ酸肥料で他に有名なもので、珪藻土由来のケイ酸カルシウムというものがあるけれども、カルシウムはできれば入れたくないので、ケイ酸苦土の方が何かと有り難い。
前回の猛暑日が多い中で中干しの意義を再検討するの記事で稲作にケイ酸が良いという内容を記載したけれども、今までの記事からケイ酸を含んでいれば何でも良いのか?といえば、
石英(二酸化ケイ素:SiO2)のようなテクトケイ酸塩で風化しにくいものではダメで、風化しやすいケイ酸塩鉱物でなければならない。
こんな時に肥料の原料を探ると得られる事が多い。ということで冒頭のケイ酸苦土を調べてみる。
ケイ酸苦土の原料を調べると、
不明 - https://web.archive.org/web/20061216040853/http://resourcescommittee.house.gov/subcommittees/emr/usgsweb/photogallery/ ; English Wikipedia, original upload 3 August 2004 by Chris 73, パブリック・ドメイン, リンクによる
蛇紋岩と記載されていた。
蛇紋岩は蛇紋石という1:1型粘土鉱物を主成分とした岩で、ケイ酸苦土肥料は蛇紋岩を粉砕して袋詰にしたものだ。
蛇紋石は風化しやすいとされるネソケイ酸塩であるかんらん石が水を含み、(地質学的には)比較的低温(< 300℃)で変質することで生成される。
これらの石が水田の上流にあって、
水田に引いている水の水路がコンクリートで固められておらず、底に巻き上げが発生する状態になっていれば、
猛暑であっても登熟不良を起こしにくく栽培できるようになるのか。
ただ、このような環境の水田は比較的標高の高い涼しい地域になるので、一大水田地域ではこのような環境条件はなかなかないな。
余談
今回の話から蛇紋石とかんらん石を兼ね備え、更に有機物との相性の良い緑泥石の存在がチラついてくる。
※上の写真は緑泥石を主で含む緑色凝灰岩
余談2
作物が利用できるケイ酸は鉱物から溶け出したものを何らかの生物が関与したものが多いようだ。
※鉱物からケイ酸を取り出す微生物がいて、そのケイ酸を植物が利用するといった形
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