前回の記事でトウガラシの赤い色素と辛味を肥料で増量することができるか?
というテーマを元にカプサンチンとカプサイシンの化学式を見た。
合成経路を眺めていれば、何らかのヒントがあるかもしれないので、カプサンチンから整理してみることにする。
カプサンチンというのは、パプリカの赤の色素で、
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イソプレン[CH2=C(CH3)CH=CH2]を基本単位とするイソプレノイドで、
遥か昔に植物が上陸にあたって獲得した過剰な受光対策の記載したキサントフィルサイクルで光防御に関する
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アンテラキサンチンというキサントフィルを前駆体として合成される。
すべてのキサントフィルで共通の合成経路として、
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イソペンテニル二リン酸(以後はIPPと略す:炭素数5)と
ジメチルアリル二リン酸(以後DMAPPと略す:炭素数5)が出来、
これらが直鎖状に繋がったものが端で折りたたまれる(閉環)ことによって形成される。
IPPやDMAPPが結合する際、端のリン酸は外れて、キサントフィルは炭素、水素と酸素のみの化合物となる。
イネから発見されたイソプレノイドのモミラクトンでも触れたが、IPPとDMAPPは非メバロン酸経路(MEP経路)やメバロン酸経路(MVA経路)によって合成される。
今回は色素体での話になるので、IPP等は非メバロン酸経路の方に絞ると、光合成の反応の途中で生成されるピルビン酸とグリセルアルデヒド-3-リン酸(G3P)、補酵素としてNADPH等を材料として、IPPとDMAPPが合成される。
カプサンチンの合成を見て、カプサンチン自体には炭素、水素と酸素のみで他の要素は見当たらず、物質自体が光防御に関するものを経ているので、日射量とそれをふんだんに活用できる株の強さのように見えてくる。
雑ではあるが、各種微量要素の効かし方が鍵となるのかなとうっすらと思う。
読み物
三沢 典彦 植物におけるカロテノイドの生合成とバイオテクノロジー 生物工学 第93巻 2015年 第7号 403-406