前回はフェニルプロパノイド類で話題に挙がったα-グルコシダーゼという酵素を阻害すると何が良いのか?について触れてみた。
今回はリノール酸自動酸化阻害について触れてみる。
はじめに自動酸化について整理する。
自動酸化は酸素か紫外線の片方、もしくは両方の作用を受け、勝手に物質が酸化する作用を指す。
つまりは空気中に触れているだけで勝手に酸化するものを指し、
使用中の容器を適当に扱って、食品油が日に日に品質が落ちていくということがあるのでイメージしやすいだろう。
食用油でよく使われるリノール酸等の不飽和脂肪酸が酸化すると脂肪酸アルデヒドになる。
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アルデヒドはアルデヒド基(上の式でRを除いたもの)を持つものの総称で、
Rの箇所に脂肪酸が酸化されて変化した何らかがくっついたものを脂肪酸アルデヒドとする。
※炭素数が少ない(4個ぐらい)ものを脂肪酸低級アルデヒドとして、それ以上のものを脂肪酸高級アルデヒドとする。
リノール酸が自動酸化され生成されるヒドロペルオキシド(脂肪酸アルデヒドの手前)は不安定で周辺の細胞を傷付ける。
ポリフェノールとは何か?フェニルプロパノイド類の記事中で紹介した論文では、
By NEUROtiker (talk) - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
フェニルプロパノイド類のカフェ酸をラットに与えたところ、
リノール酸自動酸化を強く阻害したと記載されていた。
リノール酸は体内で重要な物質だけれども、
酸素に対して反応性が高く、ずさんな管理で発がん性になりやすいものでもあるため、
フェニルプロパノイド類との併用というものが重要になるのかもしれない。