前回の根は地面を耕し土を形成するの記事で、根は土の塊を砕き(物理的風化)、根酸によって細かく(化学的風化)し、根の表層の代謝による剥離で粘着物を土壌粒子に付着させるという内容を記載した。
ここから思うこととして、
代謝が良いことは根の発根が活発になるということに繋がるのでは?ということであって、
粘着物であるペクチンがどうやって出来ているのか?が気になった。
というわけで調べてみた。
最初のとっかかりとして、
大橋貴生 高等植物のペクチン生合成および分解に関与する糖質関連酵素群 化学と生物 Vol. 55, No. 7, 2017 454-456を参考にする。
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ペクチンはガラクツロン酸(GalUA)という糖を主要構成成分とした多糖類で
By NEUROtiker - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
ガラクトースのヒドロメチル基(-CH2OH)がカルボキシル基(-COOH)に酸化されることによって得られる。
By Yikrazuul - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
ガラクトースはグルコースをUDP-糖代謝といった複雑な反応を経て合成されるが、ここでは詳細は触れない。
グルコースとガラクトースの構造上の違いはヒドロキシ基(-OH)がヒドロメチル基(-CH2OH)になっている。
途中様々な酵素が関与する反応であるけれども、主の材料は光合成産物であることはわかった。
ここで余談だけれども、読み物を紹介しておく。
小竹敬久、円谷陽一 植物性体内で単糖類はどのようにリサイクルされるか? 化学と生物 Vol. 48, No. 6, 2010 402-408
上記の読み物で、ガラクトースに関して下記のように記載されていた。
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生物にとってガラクトースは主要な炭素源の一つであるが、有害物質にもなりうる。植物ではガラクトースが細胞伸長を阻害することが昔から知られていた。(途中省略)単糖再利用経路には単糖のリサイクル以外に、有害な単糖を代謝する役割があると考えられている。
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※ 小竹敬久、円谷陽一 植物性体内で単糖類はどのようにリサイクルされるか? 化学と生物 Vol. 48, No. 6, 2010 406ページより一部改変して抜粋
ガラクトースは還元性(反応しやすい)を持つが故、糖としてカロリー源になりうるが、周辺の物質と望まない反応を起こしてしまう可能性もあるわけで、薬にも毒にもなりやすいと言える糖である。
これは人体におけるグルコース(ブドウ糖)はグリコーゲンという無毒な形にして筋肉に貯蔵することと似ている。
※朝倉書店 栄養機能化学第3版 栄養機能化学研究会編集 49ページより
糖周りの反応は複雑故、様々な要素が関与しているが、そこらへんは端折るとして、すべて光合成産物であるグルコースを起点としているところに注目すると、当たり前の話になるけれども、グルコースを潤滑に合成出来ることこそが発根に繋がり、それは土の形成に影響を与えることは間違いない。
光合成と聞いて頭に浮かぶのが、
マンガンクラスターだ。
マンガンクラスターは葉で受光して得たエネルギーを利用して、水から電子を取り出している。
光合成の始まりに関与するようなものだ。
マンガンという言葉を聞いて思い浮かぶのが、
牛糞堆肥による土作りを勧めてくる方の腕は確かか?で触れた家畜糞の連続使用によってマンガン欠乏に陥るということ。
一つずつ丁寧に見ていくことで、何をすべきか見えてくる。
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