購読するか迷っていた本があった。
その本というのは、
朝倉書店から出版されたポリフェノールの科学だ。
購読を迷っていた理由は、目次を見ると健康機能の内容が多くて、値段がそれなりにするからで、最初の数章が非常に重要だとはわかっていたが、なかなか手を出せずにいた。
この本を読んでみたのだけれども、現時点での感想は、値段に躊躇せずにはやく購読しておけば良かったと。
どうしてそう思うか?というと、ポリフェノールと生体内分子の相互作用についての詳しい記載があったからだ。
相互作用に関して、ネット検索だけでは、確信出来る内容にはたどり着けなかったので、網羅的に記載されている専門書の価値を改めて痛感した。
この本から得られた内容で、栽培者にとって最も重要であると思われる内容は、
※図:ポリフェノールの科学|朝倉書店 36ページより引用
ポリフェノールの酸化的変換とアミノ酸との共有結合反応がある。
ポリフェノールと生体内分子の反応の説明であるが、土という大きな生命体として見立てたとして、土の中でも同様の反応が発生し得るわけで、この反応は腐植物質の形成の初期段階と捉えて間違いはないはず。
上の図で重要な説明を拾っておくと、
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キノン体は求核剤の攻撃を受けやすいため、アミノ酸のチオール基やアミノ基と反応し、架橋構造やシッフ塩基を形成する
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※ポリフェノールの科学|朝倉書店 36ページより引用
と記載されていた。
求核剤の攻撃は自然環境下で自然に発生する反応であるはずなので、
キノンの周辺に遊離したペプチド等があれば、十分起こり得る反応となる。
ペプチドと結合したポリフェノール(もしくはタンニン)は小さな腐植物質と見ることができ、カルボキシ基(-COOH)を大量に得る為、酸性溶液とアルカリ性溶液に対して溶解するようになる。
栽培の教科書では、ポリフェノールやリグニンを起点として、腐植物質へと変化してしくと記載されていて、腐植酸のモデルを眺めていて、うっすらとアミノ酸や有機酸と結合するのだろうなと思っていたが、専門書でここまでしっかりとポリフェノールからの反応が明記されていたので、土に対する解像度が上がったと実感している。
本はためらわずに購読すべきなんだよな。