今回は稲作の地力窒素を考えるの記事で触れた各種窒素肥料のうち、一般的に言われている肥効と異なる作用を示すものについて触れてみる。
上記の記事で窒素肥料を
○無機態窒素
・硝酸態窒素(硝安、硝酸カリや硝酸石灰等)
・アンモニア態窒素(硫安、硝安や尿素等)
※名称に安(アンモニア)が付くものがアンモニア態窒素なので、硝安(硝酸アンモニウム)はどちらにも分類される
○有機態窒素
・アミノ酸
・ペプチド
・核酸
・タンパク
のように分類した。
これに合わせて、窒素肥料の肥効に関して
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無機態窒素は水に溶けたり、土壌微生物の関与が一回程度で肥効を示すもので、有機態窒素は土壌微生物らに「タンパク → ペプチド → アミノ酸 → アンモニア → 亜硝酸 → 硝酸」の順を経て分解され無機化され肥効を示す
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と記載した。
有機態の方の窒素は土壌の微生物によって徐々に分解される事で遅効性の窒素のような振る舞いになるのが一般的だけれども、これだけの意識だと勿体ないことがたくさんある。
例えば、最近流行りのペプチド肥料等がそれに当たる。
有名なものとしてグルタチオンを主成分としたペプチド肥料がある。
グルタチオンの肥料は窒素肥料であるはずなのに、光合成能力の増強に関与している。
他にまだ肥料として販売はされていないがCLEペプチド等がある。
CLE ペプチド類の作物への応用のための基盤研究 - 農研機構
もし、上記のようなペプチドが有機態窒素を無機化する際に合成され、植物の根が直接吸収して作用するのであれば、有機態窒素は一般的な窒素肥料の働き以上の肥効を示すことになる。
アミノ酸肥料もペプチド同様、窒素肥料以上の働きをする可能性がある。
二瓶直登等 イネ幼植物におけるアミノ酸(グルタミン,アラニン,バリン)の吸収・蓄 積部位の検討 - 根の研究(Root Research)21(4):119-121(2012)
残りは核酸があるが、タンパクから硝酸への無機化に核酸がないので、現時点ではどのような肥効になるのか?の想像が付きにくい。
核酸については次回の記事で触れることにする。