前回のマッシュルームの人工栽培から堆肥の熟成を学ぶの記事で、マッシュルームの栽培の歴史はメロン栽培用の温床から始まった事を知った。
温床というのは、落葉等の有機物に米ぬか等を混ぜて適度な水分を加えた後に踏み込むことで、有機物中にいる微生物の発酵熱により周辺が温まる技術の事で、初春の育苗床にも使用されている。
前回のマッシュルームの記事で思い出したこととして、有機栽培の技術で発熱が終わった有機物を野積みにし、
秋作や来年の春作の育苗培土として利用する。
温床使用後の培土で育てた苗は綺麗に仕上がると言われている。
感覚的には良いだろうとわかるけれども、今まで投稿してきた記事から、温床後の培土の良さが改めてわかってきた。
温床時、比較的分解しやすい成分は細菌により分解される。
培土は肥料成分が少ない方が扱いやすいと言われ、上記の内容は培土の条件を満たす。
温床後の有機物はキノコの菌糸が先駆的な微生物や難分解性のリグニンを分解する。
木質資材の内部にあったセルロースが出始めたら、キノコの菌糸に対して攻撃性のある菌が現れる。
この菌が幼苗にとって良い影響をもたらす可能性がある。
尚、温床で家畜糞を用いていたとしても、上記の過程が正常に行われていれば培土の利用上問題ないはず。
ここで一つ、温床後培土を強化するならば、野積みにしたところでリグニンの分解が開始するところに着目する。
木質資材が分解される過程で、下の方から茶色い液体が出てくる。
この茶色い液体の化学組成を予想すると、おそらく渋みの要素のタンニンを更に大きくした物質になるはずだ。
タンニンのような物質は粘土鉱物に吸着することで土になる。
野積みの最中に流出する茶色い液体は出来る限り回収しておいた方が良いはずなので、バーミキュライトかモンモリロナイトを混ぜた後に野積みにしたら良いかもしれない。
有機栽培を理解する為の教材というのは至るところにあるものだな。