知人から下記の論文を教えてもらった。
Trichoderma Species: Versatile Plant Symbionts Phytopathology Vol. 109, No. 1 January 2019
要約すると、トリコデルマの一種のTrichoderma virens(以後、T.virens)がトマトの根に先に感染(共生)できると後から来た病原性のカビをブロックでき、免疫が増強しつつ、宿主のホルモンの合成を調整して成長も促進する。
この話を読むと、おそらく自身の管理する畑でも上記のような働きをする菌がいてほしいということになりそうなので、T.virensについて更に調べてみると、Trichoderma virensを用いた木炭固定化トリコデルマの木材防腐性能および固定化トリコデルマにおける木炭粉砕物の働き 日菌報 56: 43-48,2015という論文に辿り着いた。
上記の論文では、木材を腐朽菌によって腐る事を、木材粉砕物に固定化したトリコデルマを活用することで、木材の防腐を狙うもの。
カワラダケ等に攻撃性を示すトリコデルマについて調べている。
キノコも子実体を形成するまでに様々な障害があるのねと思いつつ、白色腐朽菌とトリコデルマの戦いの記事で、白色腐朽菌の天敵でトリコデルマがいるという内容を思い出した。
シイタケを攻撃するトリコデルマはアカボタンダケ(T. viride)の話題が多いけれども、この菌も冒頭の菌のように植物と共生して、宿主の成長を促進したりするのかな?
ここらへんの話は活発に研究されているだろうから、知見は徐々に増えていくだろう。
今回の話を踏まえて、思い出した事がある。
野積みにした植物性の堆肥にキノコが生え、そのキノコの発生が落ち着いた頃が堆肥の撒き時だという話題を頻繁に見聞きする。
キノコが木材を良い感じに分解して、土に馴染みやすい形になっているかなと思ったけれども、もしかしたら、このキノコに集まったトリコデルマが野積みの堆肥に定着するタイミングでもあったのかなと。
ただ、この堆肥を広大な畑という土地に散布しても薄まるだろうし、そんなところでトリコデルマが優勢種になるということが全く想像できないので、量は大事なのだろうな。
上記の内容はトリコデルマを謳っている堆肥全てに言えること。