前回、
牛乳に含まれる乳糖が血中である程度以上含まれると毒性を示し、
人が成長するに従って乳糖の分解が出来なくなるということを記載した。
成人しても牛乳を飲み続けられる人はラクターゼ活性持続症という症状により、
乳糖を分解するラクターゼが合成され続け、
ラクターゼにより乳糖は血中に含まれることなく消化される。
牛乳が体に悪いという話題は実は乳糖だけではなく、
乳糖を分解した時に生成されるものも挙げられることが多い。
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ラクターゼがラクトース(乳糖)を分解すると、
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グルコース(ブドウ糖)と、
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ガラクトースは人体にとってカロリーの貯蔵等で重要だけれども、
多量のガラクトースは腸内細菌叢(特に大腸菌周り)に影響を与える可能性がある。
ガラクトースについて更に調べてみたら、
β4-ガラクトース転移酵素遺伝子の発現制御によるがん細胞の増殖制御 Journal of Japanese Biochemical Society 87(3): 373-377 (2015)
という論文に辿り着いた。
癌化した細胞ではガラクトースを利用する酵素(β4GalT5)の発現が増大し、この酵素によって合成された物質に更に糖が結合された糖タンパク?が細胞の接着や転移に関与している。
一方、細胞が癌化した時に発現が減少するβ4GalT2は癌化の抑制(p53に関与)として働く
※β4GalTはβ4-ガラクトース転移酵素の略称
極論を言うとガラクトースは良くも悪くも細胞の癌化に関与していて、
個人的な解釈になるけれども、
癌化した器官に対して多量のガラクトースを与えると、癌化が促進されるのではないかと。
ガラクトースは糖タンパクの合成に関与しているので、
当たり前と言ってしまえばその通りである。