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農業のとある生産法人の発信が目に付いた。

その発信というのが台風に負けないというものであった。


台風の上陸時の防風で栽培中の野菜をダメにしないように務めるということだろうか?

この発信を見て、根性論的な方針を打ち出すことに不安を覚えた。


台風に負けないというのは、生育面で見ればおそらく、


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発根を促進して、暴風で株が折れないようにすることと、


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大雨後に畝に水が残り続けないように速やかに排水して、根腐れを防止することの二点が主になるはずだ。

※台風一過後のケアもあるが、土壌の物理性が高ければケアにかかるコスト(労力)は少なくなる。


上記二点の対策を行うとするならば、


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土壌の物理性を高めるために効率的に大量に炭素化合物を埋没させることが必須であるわけで、台風が大型化する要因とされる二酸化炭素の排出量の削減に貢献することに繋がる。

※畑作、稲作共通

稲作でカリウムの施肥を減らして、二酸化炭素の排出量の削減に貢献




台風に負けないというスローガンを掲げるのは良いが、この手のスローガンを掲げると、普段は何も得られず、消費されるだけのコンテンツとして扱われ、台風に負けた場合のみ同情を得られるだけで終わる。


ただ、ここで台風に負けないではなく、小さなことだけれども台風の被害を減らすために台風大型化の要因の温室効果ガスを減らすことに努め、品質の向上に努めますという方針にしたら、市場からの心象は大きく異なるはず。




別の業種だけれども、IR(Investor Relations)活動で企業の正式な取り組みとして環境に貢献していることをアピールすると株価が上がる傾向にある。

農業はIR活動の宝庫であるわけで、早いもの勝ちの状態でもあるわけなので、冒頭の発信はなんとも勿体ないように感じる。


お勧めの読み物

ゼロボードが語る「脱炭素経営」の現在――「サプライチェーン排出量」のデータは日本企業が世界で戦う武器となる | GEMBA - "現場"の未来を切り拓くメディア

企業のIR活動の一環として二酸化炭素の埋没量を加味した農業参入が盛んになるはず。

サプライチェーン(原料の調達から製造販売までの一連の流れ)の調達を自社生産にして、サプライチェーン全体の二酸化炭素排出量を減らせば、農業生産の利益が少なくてもトータルで多大な資金を得られるようになる。

稲作は栽培中に土壌環境の向上ができる確信を得た


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