昨日、下記のような話題が挙がった。


スギナは酸性土壌を好むらしい


畑のど真ん中にスギナが繁茂している畑がある。

スギナは酸性土壌の指標だと言われているけれども、



栽培終了後の土壌分析のpHの値を確認すると理想値で、

おそらく栽培中でもpHは下がらなかったのに何で?

スギナはpHは関係ないんじゃないの?という話題になった。


統計データを扱う時は最初に数字、その後にその数字の要因は何か?の手順で考察しなければ真実に近づかないのは常ということで、スギナの発生の要因から考察してみることにする。





はじめにスギナが優位に立つ環境の整理から始めると、

土壌中に水酸化アルミニウム(活性アルミナ)が存在している土壌でスギナが優位に立つという定説がある。

※水酸化アルミニウム:Al(OH)3

スギナは酸性土壌を好むらしい


水酸化アルミニウムはアルミナ含有鉱物(粘土鉱物)の風化によって流出する。

同型置換で粘土鉱物の持つ保肥力を高める


風化はアルミナ含有鉱物の酸化、もしくは酸による溶出だとして、

土壌のpHが酸性に傾くとアルミナ含有鉱物から水酸化アルミニウムが溶出するという流れになり、

スギナは酸性指標植物として扱われるという流れになる。


水酸化アルミニウムは水には溶けにくいが、酸には溶けるので、

栽培中に生じる酸等で溶けて、作物に影響を与える。


この話はよくよく見ると、

含有アルミナ鉱物から水酸化アルミニウムが溶出すれば、土壌が酸性にならずともスギナが繁茂する可能性はあることになる。




環境の整理が終わったので、

次は実際の物質の変化を見ていくことにする。



pHの次に注目すべきはCECの低さだろう。

CECはベントナイトやアロフェンといった一部の粘土鉱物と、腐植等の有機物によって数値が上がる。

陰イオン交換容量AEC


スギナが繁茂しているということで、

粘土鉱物は壊れ水酸化アルミニウムへと変化したものと、

腐植質の成分が土壌に定着していない

という二つが考えられ、


pHが安定化しているということで、

炭酸石灰系の溶けたらpHを中性に戻す石灰がふんだんに含まれている土壌

という環境であると考えられる。

根酸が炭酸塩を溶かす

く溶性苦土の水溶性化



腐植質のものがふんだんに含まれている土壌(CEC高め)と併せて物質の動きを見てみると、



CECが低い土壌では、何らかの要因で発生した酸は粘土と石灰に影響を与え、

粘土鉱物からアルミニウム(オレンジの丸)が溶出しているが、同時に石灰が土壌のpHを中和している。


一方、CECが高い土壌では、粘土が団粒構造を形成していて、腐植等(茶色の丸)が有機物を守っていてアルミニウムは溶出にくい。

土壌のアルミニウムが腐植を守る


どちらの土壌もpHは中性となる。


というわけで、



土壌分析の結果ではpHは中性になっている土壌でも、

瞬間的にはpHが低い状態があって、その影響は残ることが予想できる。


栽培に限らず経営でも言えることだけれども、

数字だけ見ていては捉えられないということが沢山あるものだ。


関連記事

アルミニウムの結合力とポリフェノールの吸着性