先日人前で栽培におけるリン酸過剰問題の話をした。
土壌分析の結果でリン酸の値が少しでも既定値よりも大きかった場合は糸状菌由来の病気の発生に気を付けろ。
農薬の使用量が増えることは確定だと捉えておいた方が良い。
という内容を強調した。
何故このような話をしたのか?といえば、昨年に知り合った生態学者の言葉がある。
作物に寄生して養分を取る糸状菌がいたとする。
この糸状菌は土壌中に豊富に吸収しやすいリン酸があれば、自身のみで積極的にリン酸を吸収して増殖して作物に感染を始める。
土壌中に吸収しやすいリン酸がなければ増殖は緩やかになる。
一方、作物と共生するような糸状菌がいたとして、土壌中に豊富にリン酸があれば自身のみでリン酸を吸収してしまい、作物とは共生しない。
土壌中に吸収しやすいリン酸がなければ、作物と共生しながら、頑張って吸収しにくいリン酸を吸収する。
土壌中に吸収しやすいリン酸が少なければ、病原性の糸状菌は増えにくく、共生性の糸状菌は増えやすい。
だから、冒頭にあるように土壌分析でリン酸の数値が高い場合は気を付けろという内容になる。
土壌分析の結果にあるリン酸は吸収しやすいリン酸なのか?という疑問が生じる。
この疑問に対しては、土壌分析では吸収しやすいリン酸しか検知できないと捉えておいた方が良い。
その理由は土壌分析で用いているトルオーグ法にある。
トルオーグ法では吸収しにくいリン酸の大半を検知することができない。
再び知り合った生態学者の話を持ち出すと、土壌中のリン酸は思った以上に多く、欠乏することがない可能性がある。
畑地では有機態リン酸の事だろう。
実際に
土壌分析の結果で有効性リン酸値が20台(基準値は80)の畑で、リン酸欠乏が発生せず素晴らしい秀品率だったところもある。
※当結果は宝山(田倉山)の麓付近の火山灰土
これらの話を元に、肥料には主要な要素でN(窒素)、P(リン酸)、K(カリ)があるが、Pを外してしまっても良いのでは?と予想を立てた。
であれば、ほぼ輸入に頼っているリン酸肥料を気にする必要はなくなり、海外依存率を下げる事ができる。
関連記事
土壌中の糸状菌が植物に対して病原菌となるか共生菌となるか?は施肥次第