菱苦土石と呼ばれる鉱物で苦土肥料の原料の鉱物と出会った。
鉱物展ではキレイであったり珍しい鉱物以外に県の石という箇所もあり、
そこで行きたくても行けなかったあるものと出会った。
それは
鹿児島のシラスである。
※九州南部特有の白い火山灰で形成された土壌
※姶良(あいら)火山由来の火山灰が堆積した土壌
白い、白いと聞いてはいたが、
これは白すぎる。
展示であったので、これ以上接写では撮影出来ないので、
より正確に比べることは出来ないけれども、
桜島で見た火山灰と比較するまでもなく白すぎる。
持っている知識を駆使して成分を考察してみる。
わかっている情報として、
火山灰ということで二酸化ケイ素の含有量というものは当然あるわけで、
二酸化ケイ素が非常に多い粘性の高いマグマ由来の火山灰なのだろう。
ということがわかる。
白いといっても火山灰であるので石灰要素はおそらくほぼ無いはず。
二酸化ケイ素が多い≒酸性であるので、
※ここでいう酸性はpHではなく、粘性がどれだけあるか?の方
(株式会社誠文堂新光社 日本の石ころ標本箱 201ページの図を参考にして作成)
この表で言う右の酸性岩よりも更に右の区分になるだろう。
となると、石英とカリ長石が大半を占め、斜長石が残りの部分を占める構成になる。
これらを一つずつ見ていくと、
これの透明の角ばったものが石英で、
化学組成がSiO2
これの上の塊のところがカリ長石で
化学組成が(K,Na)AlSi3O8
少し異なるけれども、これが微斜長石で
化学組成がKAlSi3O8
これらの鉱物が微細になったものが、
シラスを構成しているとなると、
保水をほぼせず、互いに結合しない石英によって排水性が高まり、
カリを含む鉱物ばかりなので、
サツマイモのようなカリをたくさん要求するけれども、
他の養分はあまり必要としない作物が盛んに栽培されるのも納得。
長石由来の粘土は引き付ける力が弱いので、
シラスでは腐植が蓄積しにくいことも納得出来る。
言いたいことは、
農業では火山灰 ≒ 良い土というイメージがあるらしく、
業者が火山灰だから良く採れますねと発言することを良く聞くけれども、
火山灰だから必ずしも良いということはないということはわかった。
もちろん、適正というものがあるから、
サツマイモにとっては粘性の高い火山の火山灰の方が良いだろうし、
他の作物にとっては粘性の低い火山の火山灰の方が良いということもあるから、
ひとまとめにして火山灰ということは言えない。
関連記事