赤いブドウの色素の記事の際に、
ワインの科学の本を読み始めている旨を記載した。
ワインの奥の深さに驚いた。
ブドウの栽培の知見があまりにも先に行き過ぎていて、
他の作物でブドウの栽培を参考にするだけで秀品率が格段に向上するだろうし、
発酵に関する知見も微生物による発酵だけに留まらない点に感動した。
栽培の方は今回は触れず、ワインの熟成の方を見てみると、
まねきねこReggeさんによる写真ACからの写真
品質を決める要因の一つとして、
樽の素材と大きさだけを見ても、ワインの質に大きな影響を与えるらしい。
ワインといえば、
酒であるのでアルコールを含む飲料というイメージが強いが、
他に特に赤ワインでポリフェノールが多いというイメージもある。
このポリフェノールは
果実の色素であるアントシアニンであるということをよく見聞きするが、
実際のところは少し違いそうだ。
一昔前までワインの製造において酸素はワインの敵だと見做されていた。
酸素がワインを酸化させてしまうからだ。
だが最近は酸素はワインの熟成に関与するから、
酸素は丁寧に管理すべきという流れになっている。
そもそも酸素によるワインの酸化というものは何なのだろう?
先に酸化について触れておくと、酸化は何らかから電子を取る行為で、
鉄(Fe)を例にして、
Fe2+が酸素等で酸化されると、電子(e-)が取られ、Fe3+となる。
一昔前まで酸素はワインの敵と扱われていたところから分かる通り、
ワイン自体は無酸素に近い状態となっている。
続いてワインの成分をGoogleで検索してみると、
どうやら鉄が含まれているらしい。
還元状態で鉄を含み、更にはポリフェノールを豊富に含んでいる。
この条件をどこかで見たことがある。
そう、トマトの立枯病対策のポリフェノール鉄錯体の話だ。
鉄からのこぼれ電子がワイン中の酸素に触れると、
酸素が活性酸素に変わる。
ただ、ワインの中には抗酸化物質であるポリフェノールが沢山含まれている。
ポリフェノールが活性酸素に触れるとどうなるか?
この話と似たような話もどこかで見たことがある。
下記の記事とは少し話は異なるけれども、
ポリフェノールが活性酸素により酸化されると重合したりして形が変わる。
ポリフェノールが重合するというのもどこかで見たことがある。
そう、それは紅茶内でのタンニンの酵素的褐変だろう。
このタンニンの酵素的褐変こそがワインの熟成にとって大切な要素となり、
それはワインの熟成中に適度な酸素を必要としている可能性があるらしい。
タンニンが重要な要素であるならば、
木製であるオーク樽でワインを熟成させることにも重要な意味があることになる。
-続く-