窒素肥料の複雑さの続きまでの記事で各種窒素肥料と地力窒素について触れた。

有機態窒素のことを見ることで、地力窒素のことがなんとなく見え始めてきたけれども、まだ実態はつかめず。

タンニンとタンパクについて、どれほどの解明が進んでいるのか?と気になったので検索をしてみたら、興味深い内容にたどり着いたので、今回はその内容を紹介する。


その内容というのが、タンニンのタンパク質凝集モデルの作成に成功 ―ポリフェノールの渋みや生物活性メカニズムの解明に期待― - 岐阜大学になる。

上記の研究報告は土での話ではないが、地力窒素の候補にはタンパク質タンニン複合体があるので、今回の話は地力窒素の理解の大きな一歩となることは間違いない。


マメ科のナツフジのつる茎から形成された漢方から抽出したタンニン、コラーゲン分解酵素とタンパク質があるところで、


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※図:タンニンのタンパク質凝集モデルの作成に成功 ―ポリフェノールの渋みや生物活性メカニズムの解明に期待― - 岐阜大学 4ページ目より引用


酵素反応を強力に阻害し、タンニンとタンパクが凝集したそうだ。

今回は植物には存在しないコラーゲンの話題であるが、タンニンの構造がコラーゲン分解酵素だけに反応を示すとは考えにくく、他の酵素でも同様の働きをする可能性は十分に有り得る。


であれば、土壌中に十分量のタンニンが存在していた場合は、有機態窒素の一種であるタンパクの無機化は遅延され、凝集が弱まった頃に窒素肥料としての肥効を示す事となる。


おそらくだけれども、


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タンパクを構成するアミノ酸にもカルボキル基(上の図の右側の-COOHの箇所)があるわけで、タンニンとタンパクが凝集し合っている状態で、タンパクが保肥力を増強している可能性もある。


タンニンが様々な酵素反応を阻害して、生物的な反応を緩やかにしているということがあれば、タンパクの凝集以外でも栽培者にとって有益なことが多いなと想像が膨らむ。


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