ゴマを理解する為に脂肪全般について理解する必要があるのだろうと記載して、脂肪酸から触れ始めた。
脂肪酸を基に脂肪(脂質)を理解しようと思ったが、その前に必須脂肪酸とは何なのか?を触れておく必要があると感じ、調べてみることにした。
栄養の話題で必須という表現に必須アミノ酸というものがある。
必須アミノ酸は人体内で合成出来ない9種のアミノ酸のことを指すので、必須脂肪酸も人体内で合成できない脂肪酸を指すのだろう。
必須脂肪酸を調べてみると、ω-6脂肪酸のリノール酸とω-3脂肪酸のリノレン酸があるらしいが、ここで気になるのが、脂肪酸には数多くの種類があるにも関わらず、人が合成できない必須脂肪酸はたったの2種しかないということ。
先にピックアップしておくと、
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リノール酸は赤い数字(ω)の6と記載されている箇所と記載はないが9の箇所に二重線がある多価不飽和脂肪酸である。
リノレン酸は二重線が3個ある多価不飽和脂肪酸となっている。
※多価は二重線が二個以上ある脂肪酸に付けられる接頭語
今挙げた2つの脂肪酸以外は必須脂肪酸という扱いをしていない。
これらの内容を踏まえて、脂肪酸の合成を見ていこう。
栄養学の本を見ると、夜間に糖質(炭水化物)を摂取した後に睡眠状態に入ると、炭水化物から脂質が合成されて体に蓄積するという記載がある。
肥満予防の為に就寝より3時間以内に炭水化物を控えましょうという表現をよく見聞きする。
この内容を理解する為に覚醒時に使用されなかった炭水化物がどのように脂質になっていくかを見ていく為に、脂質の前段階である脂肪酸の合成を見ていくことにする。
脂肪酸の合成経路は脂肪酸の合成 - Wikipediaに記載されているが、反応式を追うのは大変なので、要約してみる。
炭水化物ことブドウ糖は細胞質で行われる解糖系という反応を経て、
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ピルビン酸になる。
このピルビン酸がミトコンドリアに運ばれ、
User:Bryan Derksen - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
補酵素A(CoA)と反応して、アセチルCoAが合成される。
このアセチルCoAはクエン酸回路というATPを大量に合成する回路で使用されるが、余剰分は脂肪酸の合成に使用される。
色々と端折るが、炭素Cが2つ繋がっている箇所のみを取り出し、その炭素鎖をC2単位ずつ伸長させていく。
BartVL71 - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
炭素酸の伸長により、炭素数が16のパルミチン酸まで合成される。
※脂肪酸シンターゼの働きによる
この方法により炭素数が偶数の飽和脂肪酸が合成され、更に伸長して長くすることもできる。
ちなみに飽和脂肪酸は炭素数が増える程融点が上がり、液体になりにくくなる。
パルミチン酸までの合成で、人体内(哺乳類全般)での脂肪酸の合成は飽和脂肪酸であれば合成できるので、ヒトは不飽和脂肪酸から合成出来ないのか?と思うところだけれども、必須脂肪酸には一価の不飽和脂肪酸はない。
ということは一価の脂肪酸の合成はできる可能性があるわけで、引き続き見ていくことにする。
炭素数16のパルミシン酸は長鎖脂肪酸伸長酵素によって炭素鎖を更に伸長して、
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炭素数18のステアリン酸を合成する。
このステアリン酸に対して、Δ9-脂肪酸デサチュラーゼによって
Ben Mills - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
ω-9(左から数えて9番目の炭素に二重線がある)の一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸が合成される。
脂肪酸は二重線が増える程融点が下がるので、ステアリン酸からオレイン酸に変えることで体温環境下において流体に保つ事ができるようになる。
※ステアリン酸であれば、体温環境下で個体
人体内ではオレイン酸に更に二重線を増やす為の酵素を持っていないので、炭素数18で二重線を2つ持つリノール酸が必須脂肪酸として扱われるようになる。
ちなみに植物は多価不飽和脂肪酸を合成する為の酵素を持っている。
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