動脈硬化の話題で見かけるLDLとは何だ?までの記事で、必須脂肪酸と三種類の脂質(単純脂質、複合脂質と誘導脂質)を見てきて、
やっと、本題のゴマ油について見ることができるようになった。
ゴマの価値を知る為には脂肪の理解が必要なのだろうの記事で触れた通り、ゴマ油は良質な食用油というイメージがある。
何をもって良質な食用油なのか?
最初に脂肪酸の構成について見てみる。
Wikipediaに記載されているゴマ油内の脂肪酸の構成を見てみると、
・飽和脂肪酸のすべて:微量
・オレイン酸(一価不飽和脂肪酸):35%
・リノール酸(二価不飽和脂肪酸):35%
・α-リノレン酸:微量
・エイコサン酸:微量
※すべて最小率
となっている。
太字が必須脂肪酸になるが、リノール酸の過剰摂取問題について触れてみるの記事の内容を加味すると、α-リノレン酸が少な過ぎるので、α-リノレン酸の不足の症状に陥る事が心配になるが、食用油の自動酸化とオフフレーバーの記事の内容を加味すると、食味の低下が起こりにくく、動脈硬化を誘発する物質や発がん性物質の発生が少ないので、食材としては使いやすいことになる。
脂肪酸の構成に合わせて、ゴマ油にはもう一点見ておくものがある。
それはリグナン類で、ゴマ油中1%程しか含まれていないが、それでも強烈な存在感を放つ成分となっている。
※栄養の基本がわかる図解事典 - 成美堂出版 139ページ
Calvero. - Selfmade with ChemDraw., パブリック・ドメイン, リンクによる
セサミン(上の図)やセサモリンといったゴマリグナンは抗酸化作用を有し、ゴマ油中の脂質の酸化を抑制する。
つまるところ、ゴマリグナンによって風味を維持する貯蔵が簡単になるということだ。
ゴマ油のメリットとデメリットが見えてきたので、あとはゴマ油を何に使うかだ。