植物繊維の炭化までの記事で炭化の反応を色々と見てきたが、次に気になるものとして有機態リン酸の炭化がある。


何故有機態リン酸の炭化が気になるのか?というと、


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鶏糞の炭化(バイオ炭)を考える上で、有機態リン酸の変化は重要になってくるはずだから。




鶏糞に含まれる有機態リン酸だけれども、真っ先に頭に浮かぶのが、


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フィチン酸になる。

このフィチン酸は見ての通り、リン酸を豊富に含むので一見良さそうに見えるが、キレート作用があるそうで、この形状のままで土に混ざっていると微量要素等の肥効が落ちてしまうそうだ。

米ぬか嫌気ボカシ中のリン酸の挙動を考えてみる


炭化の過程でこのフィチン酸がどうなるか?は絶対に把握しておくべきだろう。




いつも通りで生成AIのGeminiにフィチン酸の炭化について質問をしてみた。


返答はこんな感じ。


脱水反応

加熱初期段階で、フィチン酸分子に含まれる水分や、構造中のヒドロキシル基(-OH)などが脱水反応によって失われます。これにより、分子内の結合が不安定になります。


脱リン酸化反応

フィチン酸の特徴的な構造である6つのリン酸基が、熱によって徐々に分解・脱離する。

この過程で、様々なリン酸化合物やリン酸ガス等を生成する。


開環・縮合反応

イノシトール環(六炭糖の一種)が熱分解によって開環し、より小さな有機分子へと分解される。

同時に、これらの分解生成物同士が縮合反応を起こし、より複雑な構造を持つ中間生成物を形成する。


芳香族化・炭素骨格形成

中間生成物がさらに加熱されると、芳香族環が形成され、炭素骨格が発達する。

水素、酸素、リンなどのヘテロ原子は、ガス状の化合物として放出される。


炭化の進行

最終的に、揮発性成分がほとんどなくなり、炭素を主成分とする多孔質な固体、すなわち炭化物が残る。




概ね今まで見てきた他の有機質の資材と同じような過程を経るようで、炭化後の生成物も似たようなものであるらしい。


炭化の過程でリン酸ガスという用語が気になったので、Geminiに追加で質問をしてみたら、下記のような返答が返ってきた。


リン酸(H3PO4)の蒸気

五酸化二リン(P4O10) の蒸気

ホスフィン(PH3):ホスフィンは非常に毒性の高い気体。


炭化の過程でリン酸が減るのは有り難いが、世界的に見てリン酸が気化するのはリン酸の絶対量が減るので困る。

リン酸が減ると有り難い理由

有機態リン酸の過剰蓄積についてを考える

土壌分析でリン酸の数値が高い結果が返ってきたら次作は気を引き締めた方が良い

リン酸が気化することが問題である理由

リン鉱石から考える未来のこと


余談だけれども、


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鶏糞には未消化分のリンカル(リン酸石灰)が豊富に含まれているが、これはそのまま残りそうだ。

※炭化の際に共存する有機物との反応でホスフィン等が生成される可能性はあるそうだ。