植物の体が硬く直立するためには、各細胞毎に細胞壁と呼ばれる構造を持っていて、細胞壁はセルロース、ヘミセルロース、ペクチンとリグニンが必要とされる。
セルロースというのは、光合成産物であるグルコースがβ1-6結合と呼ばれる方法で繋がった多糖となる。
ヘミセルロースというのは、セルロースと異なり、ヘミセルロースという名前の物質はなく、キシログルカン、キシラン、グルカンやマンナンといった物質の総称となっている。
ペクチンも同様にペクチンという物質名ではなく、ホモガラクツロナン(HG)、ラムノガラクツロナン-Ⅰ(RG-Ⅰ)やラムノガラクツロナン-Ⅱ(RG-Ⅱ)の総称である。
ホモガラクツロナンは
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ガラクツロン酸という単糖が繋がったもので、ホモガラクツロンとカルシウムイオンが結合すると、
カルシウムイオンが架橋となり、ホモガラクツロンがゲル化する。
これで各繊維が繋がったことになり束になって強固となる。
植物は繊維の中にカルシウムを取り込むことで体を丈夫にするということがわかった。
ということで今回の話を続ける。
『植物細胞壁』(西谷 和彦,梅澤 俊明)|講談社BOOK倶楽部
講談社の植物細胞壁という本を読んでいる。
読み始めた動機は、廃菌床堆肥の性能を調べる為にキノコに触れ、キノコをより深く理解する為に菌類の生物学に触れたら、菌と植物の関係の際の重要な要素として細胞壁が挙がり、今まで読んできた論文は情報が点在しているので、まとまった情報が欲しいなという流れ。
詰まるところ、最近流行りの植物の防御反応の要約が欲しかったというところに尽きる。
話は防御反応から離れ、細胞壁を構成する無機元素について触れることにする。
上記で紹介した本のカルシウムの節に興味深い内容があった。
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一般に単子葉植物のカルシウム含量は真正双子葉植物よりも低く、特にイグサ科、カヤツリグサ科、イネ科では著しく低い
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※講談社 植物細胞壁 88ページより抜粋
これは衝撃だ。
イネ科の草と言えば、
養分過多の土壌から養分と除きつつ、腐植を溜め込む為に利用する緑肥がある。
養分過多と言えば、家畜糞堆肥の使用により蓄積された窒素、リン酸やカルシウムがそれにあたり、カルシウムこそ取り除きにくい要素である。
思わぬところから緑肥の見直しに迫られることになった。
イネ科の草がカルシウムを多く必要としないのは、ケイ素を上手に利用できるからなのだろうな。
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