前回の消化汚泥から得られる溶解性リン酸態リンの記事で、汚泥からリン酸の回収を見た。
今回は汚泥自体を利用する汚泥肥料について見ていくことにする。
※写真は現物のものがないので、素材サイトから似たようなものを探してきた
汚泥肥料は肥料の原料が高騰している中で注目されている肥料で、安価で入手できて良いものが育つと評判になっている。
ただ、この手の内容で不安なこととして、汚泥肥料に含まれている養分が不明確なまま使用すると家畜糞と同じような症状に陥らないか?ということがある。
プロと名乗るのであれば、最低限製造における原料(栽培であれば肥料)の構成は可能な限り把握しておくことが最低限しなければならないことであることは産業における鉄則のようなもの。
というわけで、汚泥肥料の成分分析について調べてみることにした。
水野和俊等 汚泥肥料の種類と成分含有量の実態 : FAMICの肥料検査成績から - 日本土壌肥 料学 雑誌 第84巻 第4号(2013)に保証票で記載すべき項目と、各項目の分析法が記載がされていた。
保証票に明記すべき項目は、窒素、リン酸、カリ、銅、亜鉛、石灰(カルシウム)とC/N比がある。
分析すべき項目として、上記の項目に加え、水分量、ひ素、カドミウム、水銀、ニッケル、クロムと鉛がある。
更に汚泥肥料の種類も記載されていて、下水汚泥肥料、し尿汚泥肥料、工業汚泥肥料、混合汚泥肥料、焼成汚泥肥料と汚泥発酵肥料がある。
上記内容で驚いたのが、準必須要素である苦土の項目がないこと。
これらの内容を踏まえた上で、汚泥肥料全体の傾向を見ていくと、窒素、リン酸と石灰が高めで、カリウムが低めとなっている。
汚泥肥料だけあって、亜鉛が多いというのは利点になるだろう。
窒素とリン酸が高いとカビ由来の病気が増える傾向にあり、石灰が多いと他の成分の効きが低下しつつ、土が硬くなるという傾向があることを念頭に入れた上で使用するのであれば良いけれども、何も考えずに入れるとなると近いうちに生理障害多発で面倒なことに陥るのは安易に想像できる。
土壌分析でリン酸の数値が高い結果が返ってきたら次作は気を引き締めた方が良い
汚泥肥料を使用する時は汚泥肥料の負の一面を薄めるために、
腐植質の資材を多めに入れておく必要がありそうだ。
あとはカリウムと苦土(マグネシウム)
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